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美術 : 美術展、写真展紹介 ブログトップ
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静嘉堂文庫美術館『明治からの贈り物』展 : 明治の職人たちの気合いが凄い [美術 : 美術展、写真展紹介]

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静嘉堂文庫美術館で開催中の「明治150年記念 明治からの贈り物展」の内覧会に参加してきました。例によって、特別な許可を得て写真撮影しています。普段は一部エリアを除いて撮影NGです。

★ 展示内容

静嘉堂文庫美術館 河野館長、主任学芸員 長谷川さん、そしてナビゲーターの青い日記帳 Takさんによるトークショーの内容、長谷川さんのギャラリートークの内容も含め、展示内容を紹介します。

展示品はほとんどが静嘉堂文庫美術館の収蔵品、つまりは岩崎家のお宝の一品ばかり。また、三菱も関係している日本郵船がセントルイス万国博覧会に出品したという作品群(こちらは借用品)も併せて展示されています。その構成は
  • Ⅰ.岩崎家高輪本邸を飾った明治の美術
  • Ⅱ.幕末明治の美術
  • Ⅲ.岩崎家と近代美術~第4回内国勧業博覧会と名品~
  • Ⅳ.明治の彫刻・工芸の粋 Part.1
  • Ⅴ.セントルイス万国博覧会とゆかりの美術
  • Ⅵ.明治の彫刻・工芸の粋 Part.2
となっています。

今は高輪の開東閣として知られる岩崎家のお屋敷。そこを飾っていた作品として、刺繍による能役者を描いた作品がまずはお出迎え。岩崎さん、能が好きだったようで、“先生”を呼んで稽古を付けてもらっていたとか。その先生の姿を描いたもの。
刺繍とは思えない、繊細でリアルな表現にいきなり驚かされます。
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ちと迫力ありすぎ。単眼鏡持参で臨んだのですが、拡大して見ると怖いくらい。影の部分と光の当たっている部分の表現で縫い方も変えているのだとか。なるほど、超絶技巧。
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これらの作品は、お屋敷の貴賓室に飾られていて、客人を迎えたのだそうです。

さらには、かの裸体画論争(ART WORDS | 美術手帖)でお馴染みの、黒田清輝の「裸体婦人像」。いやぁ、本物です。
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当たり前ですが、ちゃんと黒田清輝のサインも右上に入っています。ここにもライトが当たるように展示には気を配ったそうですよ。一見の価値あり。
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この絵はビリヤード室を飾っていたそうです。なんともお洒落。
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河鍋暁斎の「地獄極楽めぐり図」。パトロンだった人の娘が幼くして亡くなり、それを悼んで「娘さんは極楽に行ったんだよ」という物語絵巻。ダンテの「神曲」を彷彿させるような物語に思わず見入ってしまいます。
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全編を展示するため、会期中に三回の展示替え(ページめくり)があります。全巻を見たい人は四回、足を運んでくださいな。日程は下記の通り。
  1. 7/16(Mon) - 7/26(Thu)
  2. 7/27(Fri) - 8/9(Thu)
  3. 8/10(Fri) - 8/23(Thu)
  4. 8/24(Fri) - 9/2(Sun)


菊池容斎の「呂后斬戚夫人図」は、悪く言えばスプラッターもの。伝承された残忍な物語を忠実に描いています。その話はWikipediaの戚夫人の項に任せます。簡単に言うと、皇帝の側室として権勢を振るっていた女性(戚夫人)が、皇帝亡き後、皇太后(呂后)によって手足耳鼻を切られ、“人豚”として厠で飼い殺しにされたという話。
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手足を切られるところを平然とみている皇太后が怖い・・・。
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内国勧業博覧会に尽力した岩崎家。そこで出品された品々も展示されています。屏風図は十点が出品され、そのうちの八点が何らかの賞を取ったそうです。今回はその賞を逃した二点が飾られています。当時はその画風が“新しすぎた”から、評価を得るに至らなかったのだろうとの解説。確かに、ちょっと劇画調というか、リアルというか、狩野派や琳派などとは違っているなと言うのが分かる作品です。
それが橋本雅邦の「龍虎図屏風」、鈴木松年の「群仙図屏風」。
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ドラゴンボールに出てきそう?
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毛並みのふさふさ感がすごい。この虎(の描き方)は、。芸大の先生によると、芸大所蔵の伝・雪村の虎の図にインスパイアされたらしいです。

この屏風図を見て感動し、かの川合玉堂は橋本雅邦に弟子入りした、なんて話も。
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その他にも一品揃い。柴田是眞「柳流水青海波塗蒔絵重箱」はなかなかモダンな紋様。
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そして、主任学芸員さんの「これから来そう」というお墨付き(?)のあった、加納鉄哉の追儺面。
法隆寺薬師堂所蔵の面のコピーだそうですが、レーザースキャナーや3Dプリンターなんてない時代の話。職人技による写しは、技巧面ではオリジナルと言ってもいいのでは。
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★ 感想

最近では明治期の美術品というと、宮川香山の焼き物、安藤緑山の象牙彫刻、並河靖之の七宝など、いわゆる超絶技巧の職人技による工芸品が”流行り”だろうか。岩崎家が収集し、静嘉堂文庫美術館が収蔵している品々もそんなものばかり。彫刻・焼き物もそうだが、さらに屏風画だったり、絵巻物だったり、能面だったりと、バラエティも豊か。明治の職人たちの凄さを感じるとともに、それらをコレクションした岩崎家の審美眼の高さにも感心。
客間に刺繍額があり、ビリヤードをしながら黒田清輝の裸体像をチラ見し、マントルピースの上には超絶技巧の鋳物・焼き物が飾られていた。いやはや、想像もつかないですね、そんな生活。

刺繍で描いた作品を飾るなんて、ペルシアのカリフか、ヨーロッパの宮廷のような趣味ですが、“技術を見せる”意味では通常の絵画よりも存在感あり。天女や天狗の着物の柄の再現は凄い。さらには髪飾りやらなんやらの手の込んだ部分は見るからに大変そう。絵に描くだけでも細かくて大変そうなのに、それを刺繍でなんて・・・。職人技って奴ですね。

河鍋暁斎の「地獄極楽めぐり図」は確かに全巻、観てみたい。最初のシーンは娘の死を嘆く家族の図。そこから檀家の寺を旅立つ図などが続き、八枚目か九枚目が三途の川のシーンだったかな。三途の川に到着する前に、そんなに描くべきシーンがあるのかってのがまずもって驚き。それは、確かにダンテの「神曲」のごとき詳細さです。そこから先、たぶん最後は極楽往生して、仏の前でハッピーエンドになるのだろうけど、そこまでにどんな場面があるのか興味津々。長谷川さんの話では、「静嘉堂文庫美術館で目録を作成し、その時には全編を収める」とのこと。期待して待ちましょう。

それにしても明治の芸術作品、面白いものが多い。そして、まだそんなに知られていない作品だというのも「自分はそれを見たぞ!」と思えるところもいいかも(笑)。そんなこんなで、おすすめです。

そうそう。最大のおすすめは、下記の「河野元昭館長のおしゃべりトーク」かも。今回のトークショーでも楽しい話が聴けました。饒舌館長とは良く言ったもの。まさにその通りです。そのパワーに圧倒されちゃいますよ。時間があえば是非。私も行きたいな。

★ 美術展情報

「明治からの贈り物」展は下記の通り、開催中。
  • 会期 : 2018/7/16(Mon) - 9/2(Sun)
  • 開館時間 : 10:00 - 17:00
  • 休館日: 月曜日 (7/16は開館)
  • 料金 : 一般1,000円 学生 700円 中学生以下 無料
  • 公式サイト : 静嘉堂文庫美術館 | 次回の展覧会・講演会
  • 関連イベント
    • 講演会
      地下講堂にて先着120名様(当日、開館時より整理券配布) ※整理券はお1人様につき1枚のみの配布。講演会の事前予約は出来ません。  午後1時15分開場、整理券の番号順にご入場いただきます。
      1. 7/22(Sun)
        題目:「明治の岩崎家の住いについて」
        講師:藤森照信氏(東京大学名誉教授・東京都江戸東京博物館 館長)
      2. 8/4(Sat)
        題目:「幕末明治とイスラーム―危機の歴史に学ぶ―」
        講師:山内昌之氏(東京大学名誉教授)
      3. 8/18(Sat)
        題目:「明治絵画に求められたもの―容斎から清輝まで―」
        講師:野地耕一郎氏(泉屋博古館分館長)
    • 河野元昭館長のおしゃべりトーク
      8/26 (Sun)
      題目:「岡倉天心『國華(こっか)』論 饒舌館長口演す」
      講師:河野元昭(静嘉堂文庫美術館館長)
    • 静嘉堂コンサート
      8/11(Sat) 14:00 - 15:00
      出演者:アンサンブルぼうえきや(三菱商事コーラス同好会有志)
      会場:静嘉堂文庫美術館地下講堂(自由席100名)
      要事前予約:TEL(03-3700-2250)またはメール(toiawase@seikado.or.jp)にてお申込みください。 ※空きがあれば当日参加も可能です。
    • 静嘉堂“庭園の花木を観察しようツアー”
      7/28(Sat), 8/25(Sat) 13:30 - 14:30 定員各15名様程度 ※雨天決行
      要事前予約、TEL(03-3700-2250)またはメール(toiawase@seikado.or.jp)にてお申込みください。 ※空きがあれば当日参加も可能です。
  • 図録:いつものミニサイズ版
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「モネ それからの100年」展 : モネ、断然リスペクト! 本家&オマージュ作品大集合 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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横浜美術館で開催中の「モネ それからの100年」展 夜間特別鑑賞会に参加してきました。
例によって特別な許可を得て写真撮影しました。通常は撮影禁止です。

★ 展示内容

モネがかの有名な「睡蓮」を描くようになってから約百年。単に印象派の画家と言うだけではなく、抽象芸術の先駆者として、その後の画家たちに大きな影響を与えた。その力は今も衰えず、モネの「睡蓮」をオマージュした作品を製作したり、意識しなくても影響を受けたと思われる芸術家は現代でも数多い。
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今回の企画展は、モネ自身の作品と、関連する(と思われる)現代作家の作品とを一緒に並べて見せる、という展示構成となっている。モネの作品をほぼ時系列にして、四章に分けての展示。
  • 第1章 新しい絵画へ 立ち上がる色彩と筆触
  • 第2章 形なきものへの眼差し 光、大気、水
  • 第3章 モネへのオマージュ さまざまな「引用」のかたち
  • 第4章 フレームを超えて 拡張するイメージと空間

例えばモネの「セーヌ河の日没、冬」と、Morris Louisの「金色と緑色」。ルイスの作品の上端部分に着目。色が複雑に重なり、どのように描いたのかよくわからない。そんな辺りがモネの作品に通じる部分がある。
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モネの初期の作品群は、きっちりと描かれた風景画が多い。
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Louis Caneの作品は、キャンパスではなく、目の細かい金網に描かれている。“色が浮かび上がる”イメージは浮遊感を漂わせている。
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モネの「ジヴェルニー 近くのリメツの草原」は光に満ちあふれ、白く煌めく。
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中西夏之の「G/Z 夏至・橋の上 To May VII」。橋の上から見た川面だろうか。煌めく光が白い点となり、光の帯は緑の波を作って揺らめいている。
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Alfred Stieglitzは「近代写真の父」。ピクトリアリスムのフォトグラヴュア作品群では、街はかすんで見える。
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モネの「チャリング・クロス橋」。夕陽に照らされた景色は、何もかもが光の中に溶け込んでいる。
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旧東独出身のGerhard Richter。ヘラで引き伸ばされた絵の具は色の層を成し、不思議な奥行き感がある。
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映像作品もある。水野勝規(@monotonefilms)の「holography」は、揺れる水面に映る森のイメージだろうか。
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このモネの睡蓮の作品「睡蓮、水草の反映」は、まさに画角からはみ出さんばかりの睡蓮の花、水草が広がっている。
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小野耕石の「波絵」は、油性インクを使った“版画”。インクの粒で描いた版を何十枚と重ねて刷ったものだそうだ。よく見ると点々が盛り上がっているのが分かる。それが床一面に広がり、不思議な“波紋”を描いていた。
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★ 感想

モネと言えば「睡蓮」。そして個人的には「チャリング・クロス橋」も好きだ。
「睡蓮」は、あんな風に写真が撮れるといいなと、池や湖などを写す時にいつも思っている。でも、なかなかあの雰囲気が出せないんですよね。「チャリング・クロス橋」も、朝焼けや夕景であんな感じの“おぼろげ”感のある画が撮れるといいんだけど。。。

プロの芸術家たちも、モネが好きな、モネに影響を受けた人が多いんだなと、今回の企画展で再認識。人気ですね、モネさん。しかも、油絵だけではなく、版画や写真、そして動画(映像作品)と、幅広くオマージュ作品が並んでいて圧巻。なるほど、最初の「モネはただの印象派の画家と言うだけではない」という話もその通りだなと思わせてくれます。
あの淡い色合い、色のグラデーション、光の表現は誰しもが「やっぱこれだな!」と思うのでしょうか。オマージュしたくなるのでしょうね。
そして、そのオマージュ作品はどれもが“手の込んだ”ものが多いのも特徴かな。あのグラデーションやら淡い雰囲気を出すには何度も色を重ねたりしないといけないからなのでしょう。池の鯉を写した動画作品があるんですが、よく見るとこれも季節を超えて撮られた映像・画像を重ねて造った力作だそうです。各作品横のキャプション(説明書き)にそんな逸話や注目ポイントが書かれているんですが、この作品なんか言われないと、そこまですごいことになっているのかとは気が付かないでしょう。
モネさんの域に達するにはそれだけのものが必要なのかも。自分もこんな写真が撮れたらなぁ、なんて甘い考えではダメなのかも。

百年の長きに渡って影響を発揮するモネさん。その凄さに改めて感心する企画展でした。うむ、面白かった。
あと、細かい描画の作品が多いので、単眼鏡の類を持っている人は持参しましょう。私も先日購入した「ビクセン(Vixen) 単眼鏡 マルチモノキュラーシリーズ マルチモノキュラー6×16 1121-04」でじっくりと観てきました。
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★ 美術展情報

モネ それからの100年」展は下記の通り、開催中。

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「巨匠たちのクレパス画展 ー日本近代から現代までー」@東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 [PR] [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

WindamArtPRさんからの紹介による事前告知宣伝です。

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で7/14(Mon)から開催される「巨匠たちのクレパス画展 ー日本近代から現代までー」の紹介です。
公式サイトの説明によると、
クレパスが学校教材として普及したため、もっぱら子ども向けのものと思われがちですが、その優れた特性は、油絵具の入手が難しかった第二次大戦直後に多くの画家たちに注目され、次第に独自な画材として絵画表現に取り入れられるようになりました。
本展では、サクラアートミュージアムの絵画コレクションから、クレパス開発と普及に関わった画家・山本鼎(かなえ)をはじめ、大正から昭和にかけて日本画壇で活躍した巨匠たちを中心に、現代の作家たちの作品も併せて紹介します。
とのこと。
百名以上の画家たちの作品が展示されているそうです。例えば、梅原龍三郎、小磯良平、山口薫、山下清、岡本太郎などなど。

クレパス、懐かしいですね。幼稚園や小学生の頃によく使っていた想い出が。それが、こんな巨匠の面々も使っていたとは知りませんでした。岡本太郎や山下清はなんとなくイメージが湧くんだけど、その他の画家たちはなんか違う。どんな作品なのでしょうね。クレパスって色合いが華やかそうだから楽しい雰囲気の作品が多いのかな。観るのが楽しみ。

ところで、クレパスって日本生まれだとか。株式会社サクラクレパスによって大正時代に開発されたそうです。ちなみにその頃の社名は「櫻クレィヨン商會」だったそうで、のちに現在の社名に変更したのだそうです。なるほどねぇ。

★ 美術展情報

「巨匠たちのクレパス画」展は下記の通り、開催中。






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