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「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」 [映画の感想]

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★ あらすじ

黒い魔法使いのグリンデルバルドは(人間との混血を嫌う)純血主義を訴えて、魔法使いの世界で過激な活動を繰り広げてアメリカの監獄に送り込まれていた。だが、ヨーロッパに移送される時、まんまと逃げ出してしまう。そして、パリの街で仲間を募っていった。彼は、純血の魔法使いが、混血や人間を支配し、奴隷化する世界を画策していたのだ。

主人公のニュート・スキャマンダーは、魔法動物を愛する、ホグワーツ魔法魔術学校の卒業生。若き日のダンブルドア校長からの評価も高く、信頼される生徒・卒業生だ。
そんなニュートには兄がいて、ヨーロッパの魔法省で闇払い(警察・公安のような組織・役割)として務めていた。ニュート自体も誘われているのだが、自由を好み、魔法動物の探求にしか興味のない彼は兄と今ひとつ上手くいっていない。グリンデルバルドの追跡を依頼されても、「どちらの側(魔法使い純血派と、融和派)にもつく気がない」として断ってしまったのだ。

だが、そんな間にもグリンデルバルドは着々と勢力を伸ばしていき、さらにはパリに残る魔法使いの純血を貫く家系の末裔を探し出すべく暗躍していた。そして、ニュートの周りの人々も否応なしにこの争いに巻き込まれていってしまうのだ。そしてニュート自体にも影響が。

そんな時、ダンブルドアからニュートに対してある“依頼”が為されたのだ。。。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演 :Johnny Depp, Jude Law, Eddie Redmayne, Zoë Kravitz, Dan Fogler, Katherine Waterston, Alison Sudol
  • 監督 : David Yates
  • 脚本 : J.K. Rowling
  • 音楽 : James Newton Howard

★ 感想

ハリー・ポッターのオリジナルシリーズの世界・時代を遡ること数十年。“人間世界”でいうと両大戦間の時代のようだ。世紀末の繁栄の雰囲気を残すパリや、遅れて文化的爛熟状態を迎える他のヨーロッパの国々。そんな世界を舞台に、いや、その舞台裏で繰り広げられるもう一つの世界大戦の予感。魔法使いの世界もなかなか騒々しいようだ。

魔法動物の探求者が主人公なので、一作目の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」は不思議生物が一杯の楽しい作品だった。でも、二作目になって早くも(?)ハリー・ポッターのダークな雰囲気に飲み込まれた感じ。全体的に画が暗めなのがいかにも、と言える。
魔法動物自体も、その価値を低く見られた存在として描かれているし、さらには今回の作品で“人種差別”がそれに加わり、生物多様性だの、差別だのが魔法の世界を借りて語られている構図だ。どこぞの大学では、法律を学ぶのにハリー・ポッターの世界を題材にしているそうだが、確かに分かり易い構図は“モデルケース”として良さそう。まさに大人も子供も楽しめる作品だ。

ジョニー・デップも渋いし、ジュード・ロウはカッコいいし、見どころ一杯。さらには今回は題名通り、「黒い魔法使い」が登場する回。いいところで終わってしまっているので、シリーズのファンとしてはもう次回作が待ちきれない状態。面白かった。

★ 公開情報


★ 原作本


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「華氏119」 アメリカンドリームの終焉と独裁の始まりなのか [映画の感想]

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映画配給会社ギャガが運営する動画配信サイト【青山シアター】のオンライン試写会で『華氏119』を観ました。

★ あらすじ

2011年の11/9、世界中が驚き、あっけにとられ、呆然とした。ドナルド・トランプが大統領選で勝利宣言した日だ。得票数でも支持率でもヒラリー・クリントンが上回っていたのだが、アメリカ大統領選の選挙人制度によってこの不思議な(?)結果がもたらされてしまったのだ。
当選してからも人々は、「無能が明らかになり、すぐに罷免される」と当初は思っていた。だが、トランプ大統領はツイッター炎上上等(!)、虚言暴言を繰り返し、スキャンダルをまき散らし続けている。
だが、対する民主党の政治家たち(クリントン夫妻、バラク・オバマ前大統領などなど)もそれぞれにスキャンダルや不正を暴かれている。

国レベルで起きた“異変”の元はアメリカの地方で既に“炎上”していた。ミシガン州フリント市では水道水が高濃度の鉛で汚染されて健康被害まで確認される。だが、市当局はそれを否定し、子供たちの健康診断の結果を改竄するまでして隠蔽を図っていたのだ。当時の大統領だったバラク・オバマは非常事態宣言まで発動したのだが、本質的な解決をするまでに至らなかった。
フリント市はアフリカ系、ヒスパニック系の市民が過半数を占め、全米一の貧困地域と言われているところ。この問題は人種差別とも絡んでいる。また、貧困層の切り捨てという格差社会の問題でもある。

アメリカの住民は個人として立ち上がり、声を出し始める。汚染水道の問題を糾弾したり、全国規模で教師の賃金水準引き上げを求めてストを起こしたり、高校生たちが学校内の銃乱射事件をきっかけに銃廃絶運動を立ち上げた。

マイケル・ムーアは警告する。「誰がやっても同じだ、自分たちが何を言っても無駄だ」と人々が諦めた時に“独裁者”が出現するのだ、と。彼は明確にアピールする。ドナルド・トランプ大統領は、あのアドルフ・ヒトラーと同じだ、と。今、行動を起こさないと世界はあの時代へと逆戻りするのだ、と。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演 : ドナルド・トランプ, ヒラリー・クリントン, バラク・オバマ, マイケル・ムーア
  • 監督 : マイケル・ムーア
  • 脚本 : マイケル・ムーア

★ 感想

いやぁ、マイクロプラスチック監督のやり方はストレート。トランプ大統領は現代のヒトラーだと言い切っちゃっているんですから、かなり過激。“人類の敵”だと言っているようなもんですからね。
確かに人種差別発言を繰り返しているし、本作の中でも、自分の集会に参加していた黒人の人々を追い出している場面が出てくる。バスに乗っていた中国人が、中国人と言うだけでどつかれる。日本でも最近、ヘイトスピーチが問題となっているが、“本場”のアメリカはこんなにも酷いのかと驚かされる。なにせ、「国に帰って仕事しろ!」と大統領自らが叫んでいるんだから。

そしてその先にある格差・貧困の問題。街によってこんなに差があるのか、こちらも驚かされた。日頃はニューヨークやらシリコンバレーやらのニュースばかりが流れてくるから、アメリカのこんな側面は知らなかったことばかり。これまた日本も、地方都市のシャッター商店街などが思い浮かぶが、アメリカの方は住民の家がもうボロボロ。

人々の問題意識や意見、傾向に関する情報を調査しているPew Research Center | Nonpartisan, non-advocacy public opinion polling and demographic researchの最近のレポートに「Many Latinos Blame Trump Administration for Worsening Situation of Hispanics」というのがあった。ヒスパニック系米国人の47%が「生活が悪くなった」と答えている。「良くなった」は15%だ。

元々、格差はあっただろう。それがトランプ大統領の登場によって加速されたようだ。マイケル・ムーア監督はそれを“ファシズム”の再来として糾弾する。そして、人々に対して声を上げるように訴える。それ自体、相変わらずの過激さだが、なにせ相手にしているのがトランプ大統領。過激さでは良い勝負という感じ。
プロパガンダ映画って、もうちょっと“オブラートに包む”ような描き方が多い気がする。後ろめたさがあるのかどうか、バレないと思っているのか分からないが、そんな作品が多い。でも、ここまでストレートな主義主張は確かに分かり易くて良い。その主張に対して賛成・反対どちらにせよ、観る側もはっきりした反応が採り易いから。

人口減と高齢化の進む日本でもこれからは移民受け入れが本格化するだろうから、他人事に非ず。何もしないでズルズル行くと、こんな未来が待っていて、過激な“指導者”が日本にも現れるかも知れない。そうならないためにもこの映画を観ておくべきでしょう。

★ 公開情報




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「ザ・サークル」 SNSでつながることの功罪。これは社会派映画?いや、近未来SF作品か? [映画の感想]

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東洋経済オンライン独占試写会に当選して観てきました。

★ あらすじ

サークル社は巨大SNSを運営する企業。世界中にユーザーを持ち、大きな政治力も持ち始めている。トム・ハンクス演じるカリスマ経営者は、全ての人がサークル社のSNSで繋がり、全てを包み隠さずシェアすることが世界平和を持たす、と社員を前に持論を展開する。そして、その方針の下、サービスを拡充していく。そんなサークル社の新製品・新サービスが「シーチェンジ」。指先サイズのカメラを世界中にばらまき、ユーザーの身体にも貼り付け、全てのシーンを全世界に配信できるというもの。これによって隠し事はできなくなる。

エマ・ワトソン演じる主人公は、コールセンターで派遣として働いていた。一日中、クレームの電話に対して謝り、なだめすかすのが仕事。そろそろ嫌になっていた時、サークル社で働く友人から声をかけられ、転職することになったのだ。
サークル社のキャンパスは広大。社員はジョギングしたり、ヨガをやったり、楽器を演奏したりでとても自由な雰囲気だ。まさにシリコンバレーの会社だ。
彼女はまたもコールセンターの仕事をすることになる。だが、それはサークル社が提供するSNSを通してユーザーと会話するもので、一回一回、ポイントが付く。丸でゲームのようだ。彼女はすぐに慣れ、新入社員としては好成績を示していた。
そんな彼女がある事件をきっかけに、経営陣の目に留まり、新サービス「シーチェンジ」を使った実験プロジェクトのモデルとなったのだ。かくして彼女は24時間、私生活も含めて全てをSNS上でシェア。他のユーザーとの“交流”をしていくこととなった。彼女はネット上で瞬く間にアイドル的な人気となり、何千万人というユーザーが彼女の生活を“覗き見”し、チャットする。

経営陣たちはこの「シーチェンジ」を使って大きな野望を果たそうとしていた。彼女もまた大胆なアイデアを提言していく。ここに来て、サークル社は国家をも動かす存在となっていく。そして彼女はその最先端でサークル社のアイコンとして振る舞っていくのだった。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演 : Emma Watson, Tom Hanks, Ellar Coltrane, Glenne Headly, Bill Paxton, Karen Gillan, John Boyega
  • 監督 : James Ponsoldt
  • 脚本 : James Ponsoldt, Dave Eggers
  • 原作 : Dave Eggers

★ 感想

以下、ネタバレありです。

トム・ハンクス演じるサークル社のCEOが“いかにも”って感じ。舞台で社員を前にスピーチする時、マグカップにコーヒーを淹れたのをもってきたり、ジーパンにポロシャツだったり。なんかどこかで観たことある姿だなぁ、と思わせてくれる。
方やエマ・ワトソン演じる主人公は、派遣の仕事にあくせくしていたのに、いきなり世界中の注目を浴びる存在となる。まさにアメリカン・ドリームだ。
どちらも、いかにもアメリカ人が好きそうな話だが、少々ステレオタイプ過ぎのような気がする。さらには、実はカリスマCEOは会社を大きくする・権力を得ることが目的で、世界を繋げるなんてのは方便だったという結論。これも、宗教がかっていて何を考えているか分からないIT企業の創始者たちを、自分の想像の付く世界に当てはめることで納得したかったのかな、ということなのだろうと思ってしまう。要は、話の展開が読めちゃうパターンだった。

でも、話はシンプルですが、その分、素直に楽しめました。ジョージ・オーウェルの「1984」のような管理社会が、SNSが発展した先にあるような気がしてきます。五年、十年前だったら、この映画の話もSF世界の物語だったかも知れないけど、今だと明日にでも実現しそう。今だって監視カメラは街のあちらこちらに設置されているし、スマートフォンを持ってどこでも写真を撮る人(私もその一人ですが・・・)も一杯。これらがネットで繋がったら、まさにこの映画の世界の出来上がり。実は、かなり怖い話だったのかも。

ネットでSNSをやっている人も、そうでない人も楽しめそう。おすすめの佳作です。

★ 公開情報


★ 原作本


"The Circle"
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