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「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界」展 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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住友コレクション 泉屋博古館で開催されている「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界」展のブロガー内覧会に参加してきました。
例によって、特別な許可をいただいて、写真撮影しています。通常は撮影NGです。

★ 展示内容

公式サイトの説明によると、
本展では、住友家に伝わった日本、琉球、朝鮮、中国の漆工芸品の中から、茶道具や香道具、そして近代に製作された華やかなおもてなしのうつわをご紹介します。茶道や香道、能楽などの伝統文化の世界で重用された作品や、京都で作られた雅な会席具や書斎を飾る硯箱など、おもに賓客をもてなす場で使われた華やかな調度をご紹介するとともに、文人たちが愛玩した中国や琉球の作品もあわせて展示します。変化に富んだ華麗な漆の世界をお楽しみください。
とのこと。
展示構成は下記の通り。
  • 能とうるし ―楽器と衣桁―
  • 宴の器
  • 伝統文化とうるしの美術
  • 中国から琉球、そして日本へ
  • 伝統と革新 ―明治時代の漆芸家たち―

以下、分館長、担当学芸員のみなさんによるギャラリートークによる展示作品の説明です。

上記の説明にある通り、本展は京都本館に収蔵されていた作品群に加え、さらに住友家から新たに寄贈されたものも加わっている。そのため、東京初公開の作品が多数。そもそも漆作品だけの企画展は東京初とのこと。

まずは能に用いた楽器類が並ぶ。展示のため、鼓や太鼓から皮を外した形になっているので、胴の部分の細工がよくわかるようになっている。
住友家の当主だった春翠(しゅんすい)は能楽師に師事して能を学ぶほど、熱心だった。そのため、コレクションも楽器を始め、多岐に渡っている。
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古来、楽器には吉祥のデザインが用いられることが多い。これは音の出るものに神秘性を感じていたからだろう。
蒔絵は日本独自のもの。金銀研ぎ出し蒔絵など、様々な技法がある。一方で、中国では螺鈿や彫漆(漆を厚塗りし、彫刻する技法)が主。この違いもまた面白い。
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春翠は能のイベントを催すとともに、招いた客人たちをもてなすための料理用盆、膳にも趣向を凝らした。
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能の演目がデザインされているこれらの作品は京漆匠 象彦(ぞうひこ)八代目の手によるもの。客人はなんの演目なのかを当てるという楽しみもあったようだ。
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茶道、香道の調度品も多数、コレクションされた。
茶道具・香道具は初め、唐物(中国からの輸入品)が中心だった。左は足利義政ゆかりの香合。明時代の作。
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江戸時代になると和物(国産品)が中心となっていき、千家名物と呼ばれるものが出てくる。
住友コレクションには、江戸時代末期の蒔絵師だった原羊遊斎(はらようゆうさい)の作品などが並ぶ。かの酒井抱一がデザインしたものもある。
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硯箱は蓋の意匠が面白い。表と裏の両面に細工が為されていて、この二面で話が繋がっている。蓋がされている時、そして硯を利用する時に蓋を開けた時、両方で楽しめる趣向だ。
展示には鏡が用意されているので、両面を見ることができるようになっている(ちょっと見にくいけど・・・)。
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中国の作品も並ぶ。黄色の漆で龍を彫った彫漆など。黄色も龍も皇帝のシンボルだが、皇帝を表す龍は、五爪で描くのがルール。
そのほかに好まれたテーマは花鳥、吉祥、仙人、楼閣山水、子供(子孫繁栄のイメージ)など。
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螺鈿は見る角度によって色合いが変わる面白みがある。
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漆器は、中国では日用品・消耗品だったのであまり残っていない。日本ではお宝として大事にされたので今の時代にまで残っている・伝わっているものが多い。
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琉球の作品。日本や中国へ輸出をしていた。それぞれの国の好みに合わせたデザインとなっているのだが、南国風の穏やかさが感じられ、好まれた。
地域による技法、モチーフの違いも漆器の楽しみの一つ。
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★ 感想

漆・漆器のことを英語で"japan"と言うこともある(Japan | Define Japan at Dictionary.com)ほどなので、まさに日本を代表する工芸品と言えましょう。さすがは春翠さん、コレクションとして外していないですね。今回も住友家のお宝満載の企画展でした。蒔絵や螺鈿は見た目も華やかなので、観て回るのも楽しかったです。
でも、こんなお盆や膳で食事を出されたら、緊張しちゃって料理の味も分からなくなりそう。

漆器というと、日本史で習った正倉院の宝物や玉虫厨子などが思い浮かぶ。あれらは中国からの輸入品だったり、中国技術によって作られたものだったのかな。でも、江戸時代になると“日本を代表する・・・”となっていた訳で、いかにも日本らしいなと思えますね。
京漆匠 象彦(ぞうひこ)による蒔絵の製作工程紹介ビデオがYouTubeに上げられていますが、いやぁ、大変そう。日本の職人技、ここにありって感じ。


高級品ではあるけど、日用品にも使われている漆。その意味で漆器は馴染みがある存在だけど、それ故に“鑑賞ポイント”としてどんな点があるのかよく知らないと言うことも。あと、技術的な面でも知らないことが多くて。今回の企画展では、そんな私にも分かり易い解説が書かれたボードもあったりして、なるほどこういうことなのかと納得しながら鑑賞できました。蒔絵とか螺鈿とか、そのレベルまで走ってましたけど、研出蒔絵だの高台寺絵巻(平絵巻)だのになるともう・・・。勉強になりました。

★ 美術展情報

「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界」展は下記の通り、開催中。






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