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「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」 インドの現代アート作家の不思議な世界 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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今回の展示作品は、以下のライセンスの元、写真撮影可能でした。
以下の写真(作家:N・S・ハルシャ)は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。
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★ 展示内容

公式サイトによると、
N・S・ハルシャは1969年、南インドの古都マイスールに生まれ、現在も同地に在住し活動しています。インドの現代アートは近年の急速な経済成長や都市化とともに、国際的な注目を浴びていますが、N・S・ハルシャもこの10年間、世界各地で開催される国際展に数多く参加し、作品を発表しています。その一方で、南インドの伝統文化や自然環境、日々の生活における人間と動植物との関係など、自らを取り巻く「生」と真摯に向き合いながら、独自の立ち位置を確立してきた作家でもあります。
とのこと。

今回の企画展は、そんなN・S・ハルシャの個展になり、1995年以降の主要作品からピックアップして展示されています。

「私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る」
N・S・ハルシャの作品には、とにかくたくさんの人々(人だけではなく、ヒンドゥーの神々だったり、動物だったりもするが)が描かれる。そして、一人ずつが異なった表情をし、それぞれの役割を持っているようだ。この一枚で制作期間は二年かかっているとのこと。
この作品は三部作となっていて、これは人々が食べている姿を描いている。インド、特に南インドの習慣だろうか、バナナの葉っぱの上に載せられた料理を手で(もちろん、右手)食べている。
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「マクロ経済は日給30ルピーか60ルピーかで論争する」
1990年代になってインドは経済の自由化によって大きく発展する。農村の生活は大きく変化し、ビジネスマン達がスーツ姿で畑へと入り込んでいった。
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作品中にタイトルというか、メッセージがダイレクトに文字で書かれているのも特徴の一つと言えそうだ。それは中世キリスト教の宗教絵画を見るようでもある。
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N・S・ハルシャの作品は絵画だけではない。彫刻も然り。これはインド神話のハヌマーン(猿の顔をした神)だろうか。
なお、同じモチーフの作品が六本木ヒルズの66広場(あの“クモ”のいる広場)にも展示されていたので一緒に記念写真を撮るのもいいかも(あれを見よ - Smartphonography Club)。
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「ネイションズ(国家)」
足踏みミシンがずらっと並んでいる。一台ずつに各国の国旗が掛かっている。人々の労働によって国が成り立っていること、そして工業化の象徴として足踏みミシンが選ばれたそうだ。
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「レフトオーバーズ(残り物)」
食べること、寝ることに拘るN・S・ハルシャ。日本の食品サンプルに触発され、それを作品に採り入れたのがこれら。というか、食品サンプルメーカーとのコラボレーション作品。
これが二十人分程度、並んでます。どれもが食べかけだったり、食べ終わっていたり。人が食べているところを想像させる造りになっています。
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「持たざるままに」
何もせずに、ただ座っている人々を描いた作品。表情の乏しい人々は何を考えているのだろうか。“空席”があるのも何かを考えさせてくれる。
生まれた土地を離れ、暮らす人々の姿を現しているそうだが、よその土地では誰もが空虚感を感じているのだろう。
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「探し求める者たちの楽園」
マクロな視点とミクロな視点。それを端的に表しているのが、作品に描かれる望遠鏡と顕微鏡。人々だけではなく、神々や動物たちまでもが望遠鏡・顕微鏡を覗いている。彼らにはこの世界はどのように見えているのだろうか。
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「夢見るバングル」
オーストラリアのアーティストとの共作。写真だとちょっと分かりにくいですが、部屋の真ん中に立つ柱を挟んで、椅子(型のオブジェ)が二客、向かい合っている。互いの姿は柱に邪魔されて直接は見えない。でも、その椅子は繋がっている。コミュニケーションをイメージしているのだろうか。
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「タマシャ」
こちらもハヌマーンかと思いきや、N・S・ハルシャのアトリエを覗き込んでいた(本物の)猿がモデル。
この猿たちはその手で何を示しているのだろうか。
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N・S・ハルシャ展、見学の際には足元に注意してください。食べかけの食品(サンプル)があったり、こんな風に寝ている人がいたり?!
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★ 感想

とにかくインパクトのある作品がずらっと並んでいます。一枚の絵に、何人が描かれているんでしょうか。百人?いや、もっとかな。その一人ずつが個性を持っていて、見入ってしまいます。曼荼羅のような宗教画のような雰囲気があったり、ヒエロニムス・ボスやブリューゲルのような風刺画のようだったり。描かれる一人一人の持つ意味を考えさせる感じ。

私が仕事でインドを何度か訪れたのは十年ほど前(「久しぶりのインド・バンガロール出張」を見てください)。最先端のIT産業と、街をのんびり歩く牛たちの姿がこの国のイメージ。異なる文化が一変に混ざり合うと、やはり色々と矛盾は生じてくるのだろう。神々とスーツ姿のビジネスマンとが一緒に描かれているN・S・ハルシャの作品は、ちょっとコミカルな雰囲気を持ちつつも、淡々と語っている。
これからもインドはますます発展(変化)していくだろう。もう十年たった時にN・S・ハルシャは何を描くのだろうか。


無料で貸し出してくれる音声ガイドの声は細野晴臣さん。YouTubeでも聴くことができますよ。森美術館|音声/動画 コンテンツからチェックしてください。

森美術館ならではの企画展。おすすめです。

★ 美術展情報

「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」は下記の通り、開催中。
  • 会期 : 2017/2/4(Sat) - 6/11(Sun)
  • 開館時間 : 10:00-22:00(火曜は17:00まで)入館は閉館の30分前まで
  • 休館日: 会期中無休
  • 料金 : 一般 1,800円、学生(高校・大学生) 1,200円、子供(4歳ー中学生) 600円、シニア(65歳以上) 1,500円
  • 公式サイト : N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅 | 森美術館
  • 図録 3,024円 (税込)、発売日:2017年2月下旬(予定)
  • 参考ページ : NS Harsha | Victoria Miro





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