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「絶対に行けない世界の非公開区域99 」 ダメと言われると、余計に見たくなる、行きたくなる [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

本書は、立ち入りが制限されている公共の場所99カ所を紹介している。いくつかの場所は、その存在が公式には認められず、所在地さえも分からないものもある。
秘密を白日の下にさらそうとする動機が何であれ、探り出すプロセスはワクワクする。

エリア51
ネバダ州にある米国空軍施設の一部。古くはU-2偵察機の試験場だったり、ステルス爆撃機の開発などもなされた場所。だがそんなことよりも、この場所はUFOや宇宙人の研究が行われている(と信じられている)ことで有名だ。ニューメキシコ州ロズウェル近郊に墜落した(とされる)宇宙船の残骸が運び込まれたとされている。その“墜落”の数日前から、UFO目撃報告も相次いだ(らしい)。
軍用基地なので当然ながら立ち入り禁止になっているエリア51。それ故に、陰謀説はあとを絶たない。

DARPA本部
インターネットの先駆けとなったネットワークシステムでお馴染みの、米国防高等研究計画局(DARPA)も、米国防総省のシンクタンク本拠地として、一般人は立ち入り禁止となっている。その性格上、研究内容も秘密扱いされるものが少なくないため、こちらも陰謀説の宝庫となっている。

ウイルデンスタイン美術品コレクション
フランスの大富豪一族による、世界最高峰と噂される美術品コレクション。だが、その保管場所は謎に包まれている。美術商を営むウイルデンスタイン家は、各国の美術館・ギャラリーに美術品を納めてきたが、そのコレクションの全貌は明らかにされていない。ニューヨーク、パリ、ロンドン、ブエノスアイレス、そして東京などに分散して保管されていると言われていて、総点数は一万点を超えると推測されている。

チンギス・ハーンの墓
こちらも所在地不明ゆえに“絶対に行けない”場所となっている。モンゴル帝国を築き上げたチンギス・ハーンは、死に際して遺言で「密かに埋葬して欲しい」と残した。それ故、墓標も建てられることなく葬られたらしい。墓を造るのに駆り出された奴隷は皆殺しにされ、たまたま葬列を見てしまった人たちも同様に口封じのために殺された、と伝えられる。
現在も、衛星画像分析などの手法を用いて、墓を発見しようという試みが為されている。が、未だに見つかってはいない。

★基本データ&目次

作者ダニエル・スミス
発行元日経ナショナルジオグラフィック社
発行年2014
ISBN9784863133013
訳者小野 智子, 片山 美佳子

  • 沈没した潜水艦K-129
  • 太平洋巨大ゴミベルト
  • ・・・
  • ・・・
  • パインギャップ共同防衛施設
  • オーストラリア国防軍統合作戦司令部

★ 感想

軍事施設は元より、高度に政治的な施設だったり、宗教施設だったり、なかには大金持ちの私有地だったりと、入れない場所も様々。そんな場所を、説明文が1~2ページ、写真も1~2ページをそれぞれ使って、紹介しています。ナショナルジオグラフィックの他の本と同様、一つずつの説明は軽め。もっと知りたい人は専門書を当たってくださいな、という感じ。まあ、“カタログ”か“見本帳”のようなものだと思えばいいでしょうか。
それでも、知らない場所が一杯出てきて、なかなか興味深い。軍事施設や政治関係の施設(地下に作られた秘密基地など)など、陰謀論の匂いもプンプンしていてそっちの興味もそそられる。「そんなものは存在しない。単なる噂話だ」と否定されると、余計に勘ぐってしまうのが陰謀論の面白いところ。

まさに、普通だったら“絶対に行けない”ところばかりが並んでいますが、最近はGoogle EarthやGoogle Mapなどで誰もが空から地上を見下ろすことができるようになってます。それらを利用して、ここに載っている場所を眺めてみるのも面白いかも知れませんね。もちろん、そこでも“黒塗り”されている場所があるかも知れません。でも、もしそんな場所を見つけちゃったら、それこそ陰謀論を膨らませて、妄想の世界で楽しめるかも。
うだるような暑さのこの夏。冷房の効いた部屋の中でいつもと違ったバーチャル世界旅行をする際のガイドブックにもおすすめです。

なお、日本からは伊勢神宮が取り上げられていました。内宮は関係者のみにしか入れない高度に神聖な場所ということで。式年遷宮の話も載っていて、アメリカ人も関心があるのかな。でも、神道の信者数が一億二千万となっていたのはちょいと驚き。確かに、日本人の多くは神社を神聖な場所だとは思っているだろうけど、信者と言えるほどかという気もしますが。

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「おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) 」 旅に出たくなるなぁ [読書 : 読んだ本の紹介]

おくのほそ道.png

★あらすじ

時は永遠の旅人であり、月も日も始まりと終わりを繰り返しながら歩み続ける。私も人生は旅だと自覚している。
白河の関を越え、みちのくへと旅だった。仲間が千住まで見送りに来てくれたが、別れを惜しんで涙を流した。
 行く春や鳥啼き魚の目は涙
これを旅の句の最初として出発した。

未だ心が落ち着かずに日数ばかりたつうちに白河の関(福島県)に入ったが、ここでやっと心が決まった。昔、平兼盛や能因法師、源頼政の歌に出てくる白河の関だ。今の時期、卯の花や白い茨の花が咲いていて、雪に包まれた関を越えるような気分になっている。

奥州藤原氏三代に渡って築いた栄華も儚く消えた。平泉にあった秀衡の館は今は田野に変わってしまっている。笠を敷いて腰を下ろし、悲劇を懐古しながら涙に暮れた。
 夏草や兵どもが夢の跡
 卯の花に兼房見ゆる白毛かな 曾良

最上川は山が覆い被さるように迫り、樹木の生い茂る中を船が下っていく。川の水は満々とみなぎり流れ、船を下すのが危険なほど速い。
 五月雨をあつめて早し最上川

★基本データ&目次

作者角川書店 (著, 編集)
発行元KADOKAWA / 角川学芸出版
発行年2011

  • はじめに
  • 本文
  • 解説
  • 附録
  • コラム

★ 感想

本書の各章の構成は、
  • 訳文:他書だと注釈に回されるような、人名・地名・引用された和歌の表現などの説明を、余り違和感なく織り込んだ“訳文”になっていて、とても読み易い。
  • 原文:現代かなに直した原文。本来の文章の持つ語感や調子を知ることができる。
  • 解説:本文では書ききれなかった語句の解説や、芭蕉や曾良の句、関連する和歌の説明が為されている。
という調子。本文と注釈とを行ったり来たりする必要がないので、とても読み易い構成になっています。これはGood!
例えば、原文では
十一日、瑞巌寺に詣づ。当寺三十二世の昔、真壁の平四郎、出家して入唐、帰朝の後開山す。
となっているところを、
五月十一日(陽暦録画国十七日)、伊達家菩提寺の瑞巌寺(臨済宗)に参拝した。この寺は、創建から三十二代目の昔に、法身こと俗名真壁平四郎が、出家して中国に渡り、帰国後に開いたものである。
という感じに“訳して”います。
逆に、当時の人々はこんな解説がなくて理解できたんですかね。だとすると、古典に対するかなりの知識がないと無理でしょう。かなりのインテリ向けの書物だったんでしょう。

そんな「おくのほそ道」、冒頭の「月日は百代の過客にして行き交う人もまた旅人なり」は知っていたものの、ちゃんと読んだのは初めて。これまた私にとって「題名は知っているけど、読んだことない」シリーズの一冊でした。
いやぁ、俳句っていいもんですね。月やら山やら花やらの実際に目に映る景色と、悲しいだの寂しいだの切ないだのの心象とが、あの短い言葉の中に折り重なって語られているのですから。良くできたものです。自然と自己との一体感というか、連結というか、そんな感じ。
そして、俳句をそこまで昇華させたのが芭蕉さんだったと改めて知りました。それまで、和歌をリスペクトした、いや、パロディにした滑稽さ、奇抜さが俳句のトレンドだったのを、一気に芸術の高見へと持ち上げたのですから。
そんなことが可能だったのは、芭蕉さんの才能は元より、実際に自分の脚で旅をして周り、目で見て、耳で聴いて、自然を、景色を自分のものにしていったからなのでしょう。そしてその過程がこの「おくのほそ道」に記されているのだなと、勝手に納得。

「題名は・・・」の“シリーズ”、なんでもっと早く読まなかったのだろうかと思うことしばしば。今回もまさにそれです。
ということで、おすすめの一冊。

うむ、旅に出たくなったなぁ。。。

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「Cannibalism A Perfectly Natural History」 自身の子供を食べちゃうのって普通のことだった。人間だって [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

カニバリズム(生物学では共食い、文化人類学では食人)は、自然界では普通にみられる現象である。そこにはいくつか特徴がみられる。
  1. 成熟していない個体(こども)は、成体(おとな)よりも食べられることが多い。
  2. 多くの動物、特に無脊椎動物は、自身の属する種、特に卵や成熟していない個体を、餌と見分けることができない。
  3. メスはオスよりも共食いをすることが多い。
  4. 共食いは空腹の度合いに応じて多くなる。
  5. 共食いは個体の過密度合いに応じて多くなる。

共食いは、魚類から哺乳類まで、全ての脊椎動物においても起きている。
ネズミでも兎(!)でも、母親が自分の子供を食べることがある。子どもたちの中で、身体が小さいものが食べられる傾向にある。特に、餌が少なくなったときに多く生じる。
口の中で稚魚を育てることで知られる種類の魚も、卵や稚魚の一部を飲み込んでいる、つまりは自分の子供を食べているのだ。
子供同士でも食べ合う。先に育ったもの、大きな身体のものが、小さな兄弟姉妹を食べる。あるサメの仲間は、母親のお腹の中で卵が孵化し、生まれてくるときはちゃんとサメの姿になっている種類がある。その母親のお腹の中では、先に孵化して大きく育った個体が、残りの兄弟や卵を食べてしまうのだ。
一部の個体(大きく育ったもの、強いもの)を生かすために、他の(弱い、小さい)個体は食料となる。それは普通に見られる性質なのだ。

人の場合はどうだろうか。
旧約聖書には、飢餓に陥ったエルサレムやサマリアで食人が行われたとある。また、象徴的な記述だが、新約聖書ではキリストの肉や血を食する話が出てくる。聖餐が象徴的な行為だが、キリストの身体を食べるというものだ。
このような象徴的な話でなくても、人は飢餓状態になれば人を食べる。西部開拓時代、シェラネバダ山脈を越してカリフォルニアに向かっていた幌馬車の一隊が雪に阻まれ、山中で冬ごもりせざるを得なくなった。雪解けまでの期間に食糧は底を尽き、一部のメンバーの肉を食べて生き延びたのだ。(アメリカでは有名な)Donner Partyの話だ。

飢餓とは関係なく、食材として人肉を食する文化が中国にはあった。十三・四世紀に書かれた書物では、「人肉料理の仕方」が載っていいるし、貴族や上流階級の人々の食事に饗されていた。元の時代に書かれた書物には「子供の肉はどんな料理と比べても一番美味しい」と記されている。
儒教の教えでは、子供は親に尽くすことが善とある。そのため、子どもたちは自分の身体の一部を切断し、スープにして親に供することもある。

現代人でも、色々な意味で共食いをしている。最近流行しているプラセンタ美容だが、これは名前の通り、胎盤(もしくは胎盤から作られたサプリメント)を食べるというもの。米国では自らの胎盤を調理して食べているグループもある。動物学者の観点(著者は動物学者)からすると、哺乳類の中には出産後に胎盤を母親が食べるという習性を持つものがあるが、どのようなメリットがあるか興味深い。

★基本データ&目次

作者Bill Schutt
発行元Algonquin Books; Reprint版
発行年2017

  • Prologue
  • 1: Animal the Cannibal
  • 2: Go on, Eat the Kids
  • 3: Sexual Cannibalism, or Size Matters
  • 4: Quit Crowding Me
  • 5: Bear Down
  • 6: Dinosaur Cannibals?
  • 7: File Under: Weird
  • 8: Neanderthals and The Guys in the Other Valley
  • 9: Columbus, Caribs, and Cannibalism
  • 10: Bones of Contention
  • 11: Cannibalism and the Bible
  • 12: The Worst Party Ever
  • 13: Eating People Is Bad
  • 14: Eating People Is Good
  • 15: Chia Skulls and Mummy Powder
  • 16: Placenta Helper
  • 17: Cannibalism in the Pacific Islands
  • 18: Mad Cows and Englishmen
  • 19: Acceptable Risk
  • Epilogue: One Step Beyond

★ 感想

あらすじで述べたように著者は動物学者だそうだ。実際、本書の前半は昆虫や動物たちのカニバリズムの話が主だ。
だが、ネアンデルタール人の食人の話辺りから文化人類学的な話に移っていく。大航海時代には“常識”となっていたラテンアメリカの人々の食人習慣は本当なのか、ドナーパーティーの真実はどうだったのか、パプアニューギニアで広まったクールー病(クロイツフェルト・ヤコブ病の一種。いわゆる“狂牛病”)は葬儀における人肉習慣が伝播ルートだったなどなど。
カニバリズムをこれだけ“横断的”に扱った作品はこれまで読んだことがなかった。生物学的な話か、文化人類学的な話、もしくはサイコパス的な話のどれかはよくあったのだが。それもあって、カニバリズムは“普通のこと”だというのも再認識させてくれた。人だけが“特殊”としか思えない。いや、人も飢餓状態になればカニバリズムを行う訳で、やはり動物の仲間なのだなとこれまた納得。

それにしても、母親の胎内で共食いをするサメの話はなかなか。母親の胎内と言えば、心安まる場所の代名詞。それなのに、そこではまさに産まれる前から生存競争が始まっていたとは。いやぁ、厳しい世界だ。
リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」を読めば、我々“個体”の生には大きな意味はなく、遺伝子配列が受け継がれるための手段に過ぎないと分かる。であれば、遺伝子を残すのに兄弟達が餌になるくらいはなんと言うことはないのだろう。

飢餓は人を“元通りの性質”に戻す。分かってはいるが、色々と例を出されて説明されると恐ろしいものだ。ミームに従うしかない私自身も、自我を持って自己を認識している。人を食べるのは、なぜだか分からないが躊躇いがある。でも、本書で著者は警告している。このまま地球温暖化が進めば、人口に対しての食料が減り、相対的に人口過多になる、と。つまりは最初に言われた「共食いは個体の過密度合いに応じて多くなる」という条件が発動してしまう。

イメージだけで語られることの多い「カニバリズム」だが、知らねばならないことは多い。読むべき一冊。


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2018/1/30にペーパーバック版が出る予定です。




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