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「図で考える。シンプルになる。」 インフォグラフィック・エディターが明かしてくれた極意 [読書 : 読んだ本の紹介]

図で考える。シンプルになる。.png

★あらすじ

表参道のダイヤモンド社で行われた刊行記念著者セミナーに参加してきました。そこで聞いた話も織り交ぜての内容紹介です。

著者はNewsPicksなどで記事を書いていて、Infographics Editorという職種(肩書き)の方。元はプログラマー、システムエンジニア、WEBデザイナー、マーケティングなどの仕事をやってきて、今に至るそうです。
WIRED.jpハフポストTechCrunch Japanなどにも寄稿している著者ですが、「ビジュアルの力で情報をわかりやすく伝える仕事」を目指しているとのこと。

そんな著者が自らの体験に基づいて表したのが本書。
著者は、小綺麗な図表でプレゼンテーション資料を飾るのは本質ではなく、伝えたいこと・情報をいかに分かり易く表現できるかが問題だと訴える。そのためには、
  1. 情報収集
  2. 情報整理
  3. 整頓
  4. 構成・ストーリング
  5. 執筆・デザイン
と手順を踏む(記事作成の)フローにおいて、1-4のステップは考えることが中心。最後のステップに来て図を描く。どれだけ考えたが勝負で有り、考えてない図では何を言いたいのか伝わらないものになってしまう。

そして、この「考える」時にも図を描くのは有効。「考える」ことをパターン化していけるのだ。そのためには七つの図をマスターすればOK。それが以下の七つ。
  1. 交換の図:どんな「関係」かを考える
  2. ツリーの図:どんな「構造」かを考える
  3. 深堀りの図:どんな「要因」かを考える
  4. 比較の図:どんな「立ち位置」かを考える:考えるにはいいが、定性・定量の軸が混じることが多く、いい加減なことが多い。
  5. 段取りの図:どんな「手順」かを考える
  6. 重なりの図:どんな「コンセプト」かを考える
  7. ピラミッドの図:どんな「方針」かを考える(ドーナツ図 は定量的なものを示すのに向いている)

思考パターンを持つ==視点を持つということ。リアルなものがいい訳ではない。考えていない、伝えるポイントを示していないものはダメ。視点があれば結果として伝わるものになるし、長く使われるものになる。それがデザイン思考(Design Thinking)。

★基本データ&目次

作者櫻田潤
発行元ダイヤモンド社
発行年2017

  • はじめに たった1枚の図に、あなたの思考が現れる
  • 準備運動 図に慣れる
  • 基礎トレ1 モノゴトの「関係」を見抜く
  • 基礎トレ2 詳細をヌケモレなく、つかむ!
  • 基礎トレ3 「なぜ」「どうして」を突き詰める
  • 基礎トレ4 モノゴトを「比べる」
  • 基礎トレ5 「流れ」を考える
  • 基礎トレ6 「組み合わせ」を意識する
  • 基礎トレ7 方向性を決める
  • 応用 多面的に考える練習
  • 習慣化して武器にする
  • 図の見せ方・語り方
  • おわりに 思考を磨き上げる図解本を目指して

★ 感想

「図で考える・・・」という内容なのに、図を描かずに概要(あらすじ)を伝えるのは厳しい物がありますね。済みません、どんな図なのかは本を買ってみてください。

いわゆるHowTo本だとか、ビジネス書だとかはほとんど読まないのですが、Infographicに興味があったので、読んでみました。
自分には絵心が全くないので、絵が上手と言うだけでも感心しちゃうのに、分かり易く絵で情報を表現できるってすごいなと単純に思ってしまいます。Infographics Archive - Raconteurなんてページを見ては、なるほどねぇと感嘆する日々なのでした。

普段、仕事でBPMN Specification - Business Process Model and Notationだの、UML - Unified Modeling Language Specificationだのは普通に使っているんですが、InfographicとなるとPowerPointのSmartArtグラフィックくらいです。

この本、図・絵をきれいに描くテクニックと言うよりも、情報のまとめ方、そしてその時に図を活用して考えをまとめるやり方を教えてくれるものでした。これはこれで面白かったですね。こうやって考えを整理していって入るからこそ、あんな風に分かり易い図や絵が描けるんだなと納得。
私自身は絵心がないために、考えをまとめるのはもっぱらアウトラインプロセッシング派(「「アウトライン・プロセッシング入門 アウトライナーで文章を書き、考える技術」 なるほどの使い方」を見てみてください)。文章の箇条書きで考えをまとめていく方なんですが、確かに物事の関係性だの、順序だのは図にしながら考えた方が良さそうです。とりあえず七つの図を使えばいいよ、ってのも取っつき易くていいですね。

と言うことで、人に見せる前に、まず自分のために使える技(考えをまとめる、と言う技)を知ることができる一冊でした。
それにしても、Infographic Editorって肩書き、カッコいいなぁ。

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「生きている理由」 悲劇の王女の青春時代を大胆に想い描く。なぜ、男装の麗人となったのか [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

清朝末期、皇族の家系に生まれながら、日本人の養女となり(籍は入っていなかったのだが)、戦後になって日本軍に協力したとして処刑された女性がいた。それが主人公の愛新覺羅顯㺭(あいしんかくら けんし)、日本名 川島芳子だ。

清朝は終わりを迎えようとしていた。西太后は虚勢を張り、欧米列強に宣戦布告をしたが、こうして紫禁城にまで兵が押し寄せてくる状況となってしまった。そんな時、大陸浪人の川島浪速が彼らの前に現れ、上手く手引きをして無事に落ち延びさせたのだ。そしてこの時から芳子の父である粛親王 善耆は川島を信頼し、そして清朝復興の夢を彼に託すようになった。
粛親王は日本からの協力を得るため、繋がりを強めようとした。息子を川島に預け、日本留学させた。だがその子は病死してしまう。その後に養女として日本に送り込まれたのが芳子だった。その時、七歳。

それまで王女として扱われていた芳子は、王女ではなくなる。だが、普通のことも違っていた。羽振りの良かった川島は護衛として書生を芳子に付ける。護衛役は小学校の教室の中にまで入ってきていた。そんな感じなので、なかなか友だちができない。彼女を持ち上げ、へりくだってくる同級生は多かったのだが。
芯の強い彼女は養父に言い、自分が護身術を身につける約束で、護衛を付けることをやめさせた。

川島家が松本に移り住み、芳子は女子高生となった。ここでは、護衛役は付かなかったものの、馬に乗っての登下校。さすがは王女。容姿端麗で女学生たちからのラブレターが日々、山のように届く状態。松本連隊の若い軍人たちの間でも評判になっていた。

そんなある朝、事件は起きる。松本連隊の山家少尉が街頭で警備に当たっていた時、いつものように乗馬で登校してきた芳子の目の前で破裂音がとどろいた。驚いた馬は暴れだし、芳子は振り落とされてしまったのだ。山家少尉は咄嗟に彼女の身体を受け止めた。そう。それが二人の出会いだった。

★基本データ

作者松岡圭祐
発行元講談社(講談社文庫)
発行年2017
ISBN9784062937832

★ 感想

冒頭に「この小説は史実から発想された」とあり、序文の冒頭は「かつて川島芳子という女性がいた。」の一文で始まる。なかなか印象的。
清朝の皇族でありながら日本人として育てられ、しかも若くして“女を捨て”、男装してその後を生きていた人。交遊録も華やか。ところが戦後、スパイだと疑われ、中国政府によって処刑されてしまった悲劇の王女。さらにはその生涯に謎も多く、生年月日も諸説あるらしい。
ノンフィクションならまだしも、そんな“史実”が強烈すぎて、逆に小説にするのにはそれらが“制約”となってしまいそう。
でも、推理小説でその力量を発揮している著者だけあって、知られている事実と、謎の部分とを上手く繋げて一人の女性像を描きだしている。そう言えば、「探偵の探偵」や「万能鑑定士Q」など、女の子を主人公にした小説を数多く出しているんでしたね、この著者は。私も「探偵の探偵」は読みました。なかなか魅力的な主人公でした。それを考えると、川島芳子を主人公にした小説はこの人をして書かずして誰が書く?という感じだったのかも。
なぜ彼女は男装をしたのか。なぜ、養女となりながら籍は入れられずにいたのか(そのため、処刑されてしまうことになるのだが)、養父との関係はどうだったのか。色々と謎はあるが、納得感のあるストーリーになっていて、これが史実だったのかもと思い込んでしまいそうでした。

それにしても川島浪速の存在もかなり気になりました。あの時代だったからこそ、そしてもちろんある程度の資産家であったからこそですが、「国家を再興する」などということを個人的な想いで取り組めたってのがすごいなと。“大陸浪人”とは目にしたことのある言葉でしたが、こんなにも豪快な人もいたんですね。北一輝やら、石原莞爾やら、触ると危なそうだけど、“どんな人だったのか知りたくなった”マイリスト入りです。

解説によると続編もありそう。そちらも楽しみです。

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「月光ゲーム Yの悲劇 '88」 大自然の中に密室出現 私には犯人、分からなかった・・・ [読書 : 読んだ本の紹介]

月光ゲーム.jpg

★あらすじ

主人公の有栖川有栖は推理小説好き。京都の大学に入学し、推理小説クラブに入部した。部長の江上の他、部員は二名。アリスを入れて四人の男だけのクラブだ。そんな彼らが合宿と称し、キャンプをすることになった。やって来たのは矢吹山。昔はキャンプ場として賑やかだったが、今は寂れてしまっている。
だが、彼らが麓までやって来ると、東京の雄林大学、そして神戸の神南学院短大からもキャンプをすべく、学生達が集まっていた。行き先は同じ。彼らはすぐに意気投合した。

キャンプ場ではそれぞれのチームがテントを張ったが、食事やレクリエーションは一緒。最初の夜には盛大にキャンプファイヤーが行われた。余興として催されたのは、アリス達の“指導”によるマーダー・ゲーム。犯人当てのゲームだ。彼らは大いに盛り上がった。

だが、楽しかったのはその夜だけだった。翌朝、矢吹山が突然、噴火したのだ。火山弾・火山礫が飛んでくる。火山灰で空が覆われてしまう。そして、崖崩れがそこら中で起きる。彼らの登ってきた道は塞がれてしまう。山頂のキャンプ場は孤立してしまい、彼らは大自然が造った“密室”に閉じ込められてしまったのだ。

そして、悲劇は続く。噴火の少し前、神南学院短大の山崎小百合が書き置きを残して姿を消していた。さらに次の朝、雄林大学の戸田文雄が刺殺体で発見された。“密室”で起きた殺人事件だ。まさに推理小説の世界。「犯人はこの中にいる」という状態になってしまったのだ。ミステリー好きの推理小説クラブの四人だが、流石に自分たちが話の登場人物と同じ立場になるとは思っても見なかった。

そして、小説さながらに次の犠牲者が出る。連続殺人だ。自分たちの仲間の中に殺人犯がいる。そして、火山の噴火で逃げ場のない状態。噴火は断続的に続いている。
彼らは無事に下山できるのか。そして犯人は彼らの中にいるのだろうか。。。

★基本データ&目次

作者有栖川 有栖
発行元東京創元社(創元推理文庫)
発行年1988

  • プロローグ
  • 第一章 マーダー・ゲームの宵
  • 第二章 驚愕の朝
  • 第三章 恐怖の夜
  • 第四章 疑惑の日
  • 第五章 下山の時
  • 読者への挑戦
  • 第六章 別れの夜明け
  • エピローグ
  • あとがき

★ 感想

多少のネタバレあり、です。

久しぶりに推理小説らしい、推理小説を読みました。いや、聴きました。耳で読む本、オーディオブックのFebeでこの作品の配信が始まったので、通勤途中で“読書”しようと思ったのでありました。
この作品は、一人のナレーターによる朗読ではなく、複数の話者がそれぞれの役を演じているので、ラジオドラマを聞いている感じでした。自然に聞けますね。

著者の名前は知っていたものの(一度聞いたら覚えちゃいますね)、その作品を読んだことはこれまでなく、初めましてでした。なるほど、推理小説が好きなんだなぁというのが良くわかりますね。この作品がデビュー作だそうですが、往年の名作へのリスペクトに溢れていて、楽しんで書いていそう。でも実際は苦労して出版にこぎ着けたようですが、その辺りはあとがきで著者が語っています。

それにしてもデビュー作にしてスケールがでかいですね。密室を作らんがために火山を噴火させてしまうんですから。そして、そんな極限状態故に、連続殺人犯の“動機”に対しても同時に納得感を持たせています。そうでなければ、キャンプしてワイワイ楽しもうという大学生が何人もの人を殺すなんて、なかなか納得行かないもの。
もちろん、最近は「動機に納得のいかない」事件が実際の世の中で頻発していますけど。でも、それを真似ては、サイコサスペンスかホラーにはなるけど、推理小説ではなくなってしまいそう。

言葉遣いが大仰なのも気に入りました。空のことを「蒼穹(そうきゅう)」と呼んでみたり、「貪婪(どんらん)」なんて言葉は久しぶりに聞いた。他の作品を知らないのでみんなこの調子なのか分からないんですが、独特の雰囲気を醸し出していていいですね。舞台というか、ベースになっているのが京都の大学というのがまた合ってます。著者は同志社大学卒なのかな。あの、御所の北に広がるキャンパスが目に浮かぶ感じが。


推理小説、やはり面白いですね。特に、犯人捜しのパターンは色々と考えながら読めるので(聴けるので)、楽しさ倍増です。
この登場人物たちでシリーズ物になっているようなので、続編も読んでみようかな。


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