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泉屋博古館分館 生誕140年記念特別展 「木島櫻谷」:カワイイ動物画の元祖かも?! [美術 : 美術展、写真展紹介]

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ブロガー内覧会に参加してきました。特別な許可を得て写真撮影しています。通常は撮影NGなのでご注意願います。

★ 展示内容

住友コレクション 泉屋博古館分館(せんおくはっこかんぶんかん)で開催中の「生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ 近代動物画の冒険」内覧会に参加し、ギャラリートークを聴きながら作品を鑑賞してきました。以下、学芸員さんの説明を交えた作品紹介です。

まずは名前の読み方から。「木島櫻谷」は「このしまおうこく」と読むそうです。いきなりの難問!
その木島櫻谷ですが、生まれは明治十年。京都の三条室町出身で、明治、大正、昭和と、京都画壇の頂点にいた画家。文展(文部省美術展覧会)ではNo.1の評価を得て、その地位を不動のものとした。だが、昭和に入ると京都郊外(衣笠)で隠棲というか、家族と静かに暮らす生活に移り、“文人生活”を謳歌する。そのため、没後は忘れられた存在となってしまった。
だが、四年前に泉屋博古館分館で開催した「木島櫻谷展」が予想外の好評を得て、今回の企画展に至った。そのため、ほとんどの作品が東京では初公開のものばかり。個人蔵の作品も多いので、これを逃すと、、、という企画展になっている。

そんな木島櫻谷は動物画で多くの傑作を残している。きっちりと写生をし、それを元に、西洋画の技巧も採り入れた、新しい日本画を確立している。
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「猛鷲図」。ビロード友禅のタペストリーが宮内庁に納められているが、その原画。櫻谷二十代の作品。二十代にして、このような原画を任せられる存在になっていたと言うこと。
強風に立ち向かい、羽を力強く広げる鷲の姿が写実的でもあり、劇的に演出されているようでもある。
右奥から射す光が西洋画のよう。
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「寒月」。雪が降り積もった竹林に夜の月が輝く。そこを歩く狐。
三十代の作品。雪の鞍馬、貴舟辺りを歩き回り、見た風景を元に作成された。竹林を横長画面に配するのが苦労したとのこと。モノトーンのように見えるが、実は色々な色が使われている。中でも、空をどのように着色したのか謎。グレイに輝く空が印象的。
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「孔雀図」。色彩鮮やかな孔雀。
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櫻谷が使った絵の具が残されている。どれも貴重、高価な岩絵の具。孔雀の青にはどれが使われたのだろうか。
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京都にある公益財団法人 櫻谷文庫(旧木島櫻谷家住宅)で近年、発見された作品「かりくら」。第四回文展に出品され、その後、パリ万国博覧会に展示された後、所在が分からなくなっていた、幻の作品。再発見当時は痛みが激しかったが、ようやく修復が終わり、本来の美しさを取り戻したもの。
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木島櫻谷の描く動物は、写実的ではあるものの、その表情、特に目の表情は擬人的。哲学者のような、思索に暮れるような表情のライオンは何を見つめているのだろうか。
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★ 感想

四年前の企画展を見ていないので、今回、初めましてでした「木島櫻谷」さん。文展が始まった何回かは一等賞が空席だったそうで、二等になった木島櫻谷が実質的なNo.1。そんな有名で評価の高かった画家なのに、全く知らなかったとは。いやぁ、美術の世界は奥が深い。

それにしても親近感の沸く表情をしてます、櫻谷さんの描く動物たち。表情豊か。しかも、見れば見るほど人間に見えてくる。写生帖を見ると、アニメのキャラクターのようにも見えてくる。ジブリのアニメにこんなのいなかったでしたっけ?
百年前にこんな絵を描いていたとは。クールジャパンの元祖は木島櫻谷さんなんじゃないですかね。パリ万博に出品したそうですが、今、改めて海外に紹介してもいいかも。
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でも(?)、写生はしっかり、じっくりしていたそうです。なんと、京都市動物園の年間パスポートを持っていたそうです、櫻谷さん。そんな制度(年パス)が当時、既にあったと言うことも驚きですが、そこまで通って写生をしていた努力も流石です。そういう基礎の上に築かれた“アニメチック”なキャラクターたち(?)だったんですね。
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日本画というと堅苦しさを感じるところもあるかも知れませんが、櫻谷さんの作品は全くそんなことなし。むしろ、新しさというか、親近感を覚えるものばかり。これは一見の価値ありですよ。絶対におすすめの企画展です。観るべき!

★ 美術展情報

「生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ 近代動物画の冒険」展は下記の通り、開催中。






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東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 「クインテットIV」 今回もユニークな作家さん色々 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催中の「クインテットIV 五つ星の作家たち」展を観てきました。
公式サイトの説明によると、
本展は、「クインテット」(五重奏)と題し、継続的な作品発表実績があり、将来有望な5人の中堅作家たちを紹介するシリーズ企画第4 弾です。青木恵美子、竹中美幸、田中みぎわ、船井美佐、室井公美子の近作・新作約80点を展示します。 第1 回、第2 回は「風景」、第3 回は「自然」、第4 回の本展テーマは「具象と抽象の狭間」です。
とのこと。
常設展示品(ゴッホの「ひまわり」など)を除いて、五人の作品は写真撮影OKとなっています。詳しい注意事項は会場で確認願います。

展示構成は作家別にしたもの。作品リストは公式サイトからPDFファイルでも入手できます。

まずは船井美佐の作品。
動植物を渾然一体として描く、お伽噺のような、抽象画のような不思議な世界観が広がっています。
壁面を大胆に使った切り絵のような作品は、個々のパーツが鏡面になっていて、周りの景色が断片的に写し出されて、刹那的な色合いを煌めかせてます。
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ロールシャッハテストのような線対称の模様をベースに構成した感じの作品群。実際にペタッと折り曲げて作っているのかは不明。微妙に非対象紋様になっているところが逆に自然な、有機的な(生物的な)様相を帯びている。
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竹中美幸の作品。
35mmフィルムを簾のように敷いて、それをキャンパスにして実際に感光させていると思われる。「フォトグラム」と呼ばれる、カメラを用いずに、印画紙の上に直接物を置いて感光させる作品製作の技法があるが、そのような感じだろうか。物を置くのではなく、色々な色の光を当てているみたい。
不思議な色合いと、輪郭がかすんで浮かび上がる模様が何とも不思議。
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絵の具をたらしたものを滲ませていった紋様を組み合わせた作品は、単純に「こんなに大きく描けるのか(滲ませられるのか)」と驚き。
アクリルを垂らして粒状に固めたものは、永遠の水滴といった感じ。
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室井公美子の作品。
"Psyche(プシュケ)"、"Doxa(ドクサ)"など、ギリシャ語、哲学用語をタイトルにした作品群は、霧に包まれた池の畔に佇んで祈りを捧げている修行者のようなイメージ。もしくは、水の中で蠢いている人影が揺れている景色は、濃霧に包まれた、灰色の血の池地獄のようでもある。
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青木恵美子の作品。
FACE展 2017 | 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館でグランプリを受賞した作家。

花のクローズアップ?
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去年のグランプリ作品、かな。「当館収蔵品」となっていたからそうでしょう。FACE展では入賞者の作品を買い上げてくれるらしいので。
油絵の具をべったりと使い、立体的な“花弁”様の模様を作り上げている。
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カラフル。インスタ映えしそう。
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田中みぎわの作品。
抽象画のような墨絵。実際、墨で描かれている。どこかで見たことがあるような、それでいて夢の中のような風景が広がっている。
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スケッチ帳も出品されていた。これは本当の風景をスケッチしたものなのか、習作的なものなのかは不明。
郷愁を誘うような、懐かしさを感じる。
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★ 感想

この企画展、名前の通り、今回で四回目だそうです。前回(「「クインテットⅢ ‐五つ星の作家たち‐」展 @東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」)に引き続いて今回もチェックしてきました。

表現方法はこんなにも色々あるんだなと改めて思わさせてくれました。“鏡の切り絵”はキラキラ光って不思議な存在感があるし、フォトグラムのような作品は、大きな印画紙を使うのではなく、敢えて(?)35mmフィルムを並べるところが、こんなのもアリか、と感心。

気に入ったのは室井公美子さんの作品ですかね。宗教画のような、抽象画のような、心象風景のような、まさに霧に包まれた感じが、目をこらしてその奥を見てみたくなります。“あちら側の世界”が見えるとしたら、こんな感じなのでしょうかね。なんてことを思わせてくれるのがグッド。

会期があと二週間ほどですが、おすすめです。Don't miss it. です。

★ 美術展情報

「クインテットIV」展は下記の通り、開催中。




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静嘉堂文庫美術館 『歌川国貞』展 江戸で一番人気の売れっ子絵師は 国貞 だった [美術 : 美術展、写真展紹介]

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静嘉堂文庫美術館で開催中の『歌川国貞』展の、トークショー&ブロガー内覧会に参加してきました。例によって、特別な許可をもらって写真撮影しています。

★ 展示内容

以下、トークショーとギャラリートークで聞いた話を交え、展示作品の一部を紹介していきます。

まずは 歌川国貞 について。
浮世絵というと北斎や歌麿、最近では歌川国芳などが人気になっている。が、江戸時代で一番の人気絵師は、実はこの歌川国貞でした。美人画、役者絵を得意とした国貞は数万点の作品を残している。と言うのも、二十代半ばから七十代で亡くなるまで人気が持続した、生涯現役の人だったのです。活動機関で言うと、喜多川歌麿は十数年、安藤広重は三十五年程度、東洲斎写楽に至っては一年足らず。それに比べて五十年ものあいだ、人気絵師として作品を発表し続けたのが歌川国貞なのでした。

そんな歌川国貞の作品を静嘉堂文庫は四千枚を所有している。特徴として、画帖仕立てになっているものが多い。これは岩崎家のコレクションとして、女性陣がファッションブックのように楽しむため、見易いように画帖にしたと考えられている。ただ、記録には残っていないので、本当の理由は不明。
裏表に作品が貼ってあるので、このような美術展での展示には不向きなのが難点。でも、おかげで、色味がよく保存されているという功績もあった。紫やピンクなど、光に弱い絵の具が使われているが、それもきれいに残っている。

そんな岩崎家の女性陣も楽しんだ浮世絵、錦絵だが、江戸時代にはまさに女性のファッションの流行を伝える媒体だった。そのため、花魁などは元より、町人(の娘)をモデルにしたものが多いのが特徴。国貞は近所の女性たちをモデルにしていたらしい。
浮世絵に対する、当時の庶民の感覚はラフだった。
鏡台では鏡に顔を近づけたいがため、引き出しは手前ではなく、横に引き出すようになっている。
鉄漿を付けるときに、失敗して口の周りを黒くしくてしまった場面が描かれ作品もある。
依頼を受けて描いているものもある。


「浮世絵」ってそんなに詳しくないよ、って人も安心。展示の最初に「浮世絵の制作工程を描いた浮世絵」が展示されていて、それを使って詳しく説明されています。
ちなみに、描かれているのはみんな女性ですが、実際はほとんどが男性の仕事だったようです。
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版画である浮世絵。その「摺り」工程には様々なテクニックがあって、色の濃淡やグラデーションの表現などなどによって、浮世絵の表現力を高めています。
その意味では、この企画展は「歌川国貞」展となっているものの、浮世絵制作には彫り師、摺師、そして版元(出版者)などがチームとなった芸術なのでありました。
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江戸時代、吉原は「北」、品川は「南」と呼ばれた。そのため、吉原の花魁を描いたこれら作品群には「北国五色墨」のシリーズ銘が付いている。
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「江戸自慢」シリーズは、江戸の名所をモチーフに、言葉遊び的な感じで庶民の女性たちを描いている。当時の風俗、生活様式がよくわかるものになっているのが特徴。例えば、赤ん坊に添い寝した母親は、半球状の蚊帳に入っている。こんなポータブルな蚊帳が当時、使われていたのだろう。
そして、この蚊帳の網目の表現は彫り師、摺師の超絶テクニックも感じられるものとなっている。
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当時、流行した髪型や着物(の柄)がよくわかるシリーズ。浮世絵は庶民にも人気で、ファッション誌感覚で購入し、真似をしたらしい。
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「今風化粧鏡」シリーズは、鏡に映った女性の顔を描いた、と言う体裁をとっている。普通は面に見せない表情であるはずの、化粧時の姿を描くと言うことで、より女性の内面・秘めた姿を表している。
左端の作品では、お歯黒を塗っているシーンだが、失敗したのか口の周りも黒くなってしまっている。「あっ!」と心の中で叫んでいるような表情が見られ、なんとも艶めかしい。
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紹介された流行は女性のファッションだけではない。海外から伝来したガラス製の行灯(シャンデリアですね)が江戸にもたらされ、興行的に展示されたりした。実際は、輸入品のコピー製品(長崎で作られた?)だったらしいが、そんなニュースを取り入れた浮世絵も作られている。浮世絵は写真週刊誌的な役割も持っていたのだ。
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もちろん、歌舞伎の芝居・役者も浮世絵のモチーフとして大人気だった。
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源氏物語を今風(と言っても、室町時代)にアレンジしたシリーズ。大奥を連想させたためか、大ヒットしたそうだ。
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★ 感想

トークショーは、歌川国貞を扱った書籍も出している、太田記念美術館 主席学芸員
日野原さん、この企画展のキュレーションをした静嘉堂文庫 主任司書 成澤さん、そして青い日記帳のTakさんでした。
ちなみに、名物(?)館長の河野さんは、最後にちょこっと挨拶しただけ。熱く語りすぎるので自粛したのかな?!
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最近の浮世絵人気は、「これまでに知られていなかった、知る人ぞ知る」的な絵師を発掘してきて、どーんとスターダムに押し上げる、的な感じですが、今回の企画展は王道中の王道。学芸員さんも念を押していたんですが、“美術品を鑑賞する!”というかしこまった感覚は捨て、江戸時代の庶民の感覚を共有するような形で、気軽に見て欲しいとのこと。

その説明通り、当時の人々の生活様式がよく見て取れる作品が多く、その意味でとても楽しい企画展でした。
吉原を「北」、品川を「南」と呼ぶ隠語は、今も似たような表現を使うし、女性の化粧をしている姿を覗き見てみたいなんて感覚も、時代を超えて共感できちゃいます。
逆に、初鰹を先を争って買い求める姿は、今以上に流行に、そして“粋”なことに敏感・貪欲なところを見せつけていて、そこまではできないなぁと思ったりもしちゃいました。まあ、iPhoneの新機種発売に行列を作る現代人も似たようなものか。人は数百年では変わらないようですね。

そんな感じで、一枚ずつ“読み解いていく”感じで見ることになるので、意外と時間が掛かりますよ、観賞に。夕方16:30には閉館になってしまいますし、入館は16:00までなので、早めに来館することをおすすめします。

★ 美術展情報

「歌川国貞」展は下記の通り、開催中。






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