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「墓場、女子高生」 人の死を受け入れ、自分の中で昇華させること。それは誰もが体験しなければならないこと [演劇の感想]

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★ あらすじ

とある高校の合唱部に所属する少女たち。今日も学校の裏(?)にある墓場に集まって、ワイワイと戯れている。授業をサボっては、他愛もないお喋りやゲームをして過ごしていた。時々、先生に見つかって怒られるけど、悩みなんてものは微塵もない感じであった、あの日までは。

それからしばらく立った(一年くらい?)頃の墓場。彼女たちは相変わらず、授業をサボって戯れていた。だが、ビールを飲んで吐くまで酔っ払ったり、男の子の取り合いをしてケンカしたり、オカルトにハマって怪しげな儀式をしたり、以前とはちょっと様子が違ってきていた。
その墓場には疲れたサラリーマンがなぜかいつも墓参りに来ている。さらには、彼女たちの教師はやたらとヒステリックになり、さらには“日野家”の墓石を壊そうとして騒ぎを起こす。

墓場には別の三人組もいつもたむろっていた。女子高生の日野陽子と、山高帽の紳士風の身なりをした男、そして山彦(やまびこの妖怪)だ。そう、彼女たちは幽霊・妖怪なのだ。でも、人を恨んだり、現世に未練があって化けて出てきているわけではない。山高帽が言うには、誰かが彼らのことを忘れずに想ってくれているので、自分たちはここに存在しているのだと。


あの日、合唱部の日野陽子は自殺した。桜の木で首つり自殺したのだ。残された少女たち、教師は、なぜ彼女が自殺したのか全く分からなかった。だが、彼女は死んでしまった。
受け入れがたい友人の死。ビールを飲んで酔っ払ったり、さらにオカルトに走ったり、ただただ騒いだり。彼女たちはそうやって無理矢理に死を受容し、忘れ去ろうとしていたのだ。彼女らの教師ですら、責任を感じなければならないと思い込んで、やたらとヒステリックになるしかなかった。

そんなある日、オカルトに走った少女たちが日野陽子を生き返らせようと言い出す。それが彼女たちにとっての、死の受容だったのだ。表面上はその死を忘れようとしてた他の少女たちも、うちに閉じ込めようとした感情が一気に吹き出してしまう。だが、結局はその蘇りの儀式に参加してしまうのだ。そして、あろう事か日野陽子は生き返ってしまった。

だが、日野陽子は自殺の理由を語ろうとはしなかった。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演 : 伊藤純奈、伊藤万理華、井上小百合、斉藤優里、新内眞衣、鈴木絢音、能條愛未、樋口日奈、 みのすけ(ナイロン100℃)、加瀬澤拓未、柿丸美智恵、もう中学生
  • 演出 : 丸尾丸一郎
  • 脚本 : 福原充則

★ 感想

昨年の『すべての犬は天国へ行く』「すべての犬は天国へ行く」悲劇と喜劇は狂気となって。伊藤万理華、意地悪役を熱演)に引き続き、乃木坂46のメンバーが出演した演劇です。もちろん、私の推しメンである伊藤 万理華さんも出ています。というか、彼女が主役の“日野陽子”を演じています。

私の場合、小学校や中学校の同級生がもう三人、自殺してこの世を去っています。葬式に出て、元担任や同級生たちと話をしても理由は分からず。傍目からは、勝ち組とまでは言わないけど、順風満帆の人生を送り始めていた感じだったのに。
高校生だった頃に友人が突然、この世を去ったらどう感じただろうか。残念ながら神も仏も、天国も地獄も信じていない私は、日野陽子のように幽霊として楽しく(?)時を過ごしているとは思えなかったでしょう。
自殺は特殊なケースではないほどに死因として多いし、自殺ではないにしても事故や事件で突然に知り合いが亡くなることもある。そして、家族の死はいつか訪れる。誰も死からは逃れられない。そして誰かが残される。
Memento mori(死を忘れるな : 人は誰もがいずれ死す)。

心に闇や不安、困惑、怒りを秘めながらも、友だちとバカ騒ぎをする。全ては時が解決してくれる。実際はそんなところなのかもしれません。でも、この少女たちはその答えを見つけようとしてしまう。あるきっかけで、秘めていた感情が爆発してしまったから。
そんな難しい役どころを演じる彼女たち。乃木坂46のファンという目線を忘れて、普通に芝居を観られるまでにそのクオリティは上がっていました。芝居に初挑戦の鈴木 絢音さん(1999年生まれ!)も、現役高校生だからだけではない自然さが感じられ、やっぱり選ばれた少女たちなんだなぁと納得してしまいましたよ。
もちろん、我らが伊藤 万理華さんは、ドロドロとした感情を隠した笑顔、なんていう難しい表情をサラッと見せてくれる貫禄の演技。自分の自殺について語るシーンでは、ひねくれたオジサンも泣かされてしまいました。

そうそう。ちょこちょこ小ネタが仕込まれているようで、例えば映画「台風クラブ」で少年が飛び降り自殺する前に喋ったのと同じ台詞が使われていたりしたな。他にも、引っかかるものがあったんだけど、思い出せない。もう一度、観たいなぁ。
去年の『すべての犬は天国へ行く』は、その後の配信やDVD化がされていないんですよ。乃木坂46のメンバーだけが出ている「じょしらく」はHuluで配信中なのですが。権利関係やらがクリアできないのかな。
何とか頑張って配信なりなんなり、もう一度観られるようにしてほしいものです。そう思えるほどに面白かったから。

★ 公開情報






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「すべての犬は天国へ行く」悲劇と喜劇は狂気となって。伊藤万理華、意地悪役を熱演 [演劇の感想]

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★ あらすじ

とある西部(劇)の村、一軒の宿屋が舞台。そこは娼婦たちが詰めている売春宿だ。宿の主人は“店の改装の相談”で出掛けたまま留守。娘姉妹二人と、使用人母子で宿を切り盛りしている。宿に来るお客と言えば、どうして保安官の父が殺されたのか理由を聞き回る娘や、暴れて宿の備品を壊した旦那の代わりに謝りに来る奥さん、不良娘三人組、急患の知らせを持って医者である夫を探す夫人、父の敵を捜し回る女ガンマン(ガン・ウーマン?)などなど。それに娼婦たちも加わって、宿の一階のバーは賑やかだ。
だが、何かがおかしい。男たちはみんな出掛けていたり、殺されたり、行方知らずだったりして、誰一人として姿を見せない。宿にいるのは女ばかりだ。そして、宿の女たちの隠された狂気が徐々に染み出してきて、次々と事件が起こっていく。

婚約して村から出て行ったはずの娼婦がいた。だが、彼女は村を出て行くことはできなかった。出ていこうとした時、殺され、宿のタンスに詰め込まれてしまったのだ。なぜ、彼女は殺されたのか。村を出て行こうとしたから。村の秘密が外部に漏れるのを誰かが防ごうとしたか。
そう、それは悲劇の始まりでしかなかった。彼女たちは次々と。。。だが、不思議なのは残った女たち。消えた仲間のことをそれほど気にかけていないようなのだ。一体、彼女たちに何が起きているのか。そして、彼女たちは何を考えているのか。この村はどうなっているのか。

愛犬を誰かに射殺された使用人の娘は、犬のために墓穴を掘りに出ていった。

★ キャスト&スタッフ

  • 出演 : 生駒里奈、伊藤万理華、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、新内眞衣、松村沙友理、若月佑美、東風万智子、猫背 椿、柿丸美智恵、ニーコ、山下裕子、鳥居みゆき、甚古 萌、音 華花、榎本美鈴、谷松香苗、伊藤桃花、山田琴美
  • 演出 : 堤 泰之
  • 脚本 : ケラリーノ・サンドロヴィッチ

★ 感想

お気に入りの乃木坂46のメンバーが出演する、そしてなにより“推しメン”であり、映画「アイズ」での演技が素晴らしかった(「「アイズ」 :ホラーと言うより、ヒューマン・サイコ・ミステリー。切ない話に仕上がってます」)伊藤 万理華が出ていると言うことで、しっかりと観てきました。

と、動機はそんな感じだったのですが、普通に面白かった。これまで芝居を観ることってそんなになかったので(生まれてから今までに十回くらい?)、一般的なレベルとしてどうなのかは比較ができません。が、話の筋が良くできていて、見入っちゃいました。演劇素人の私でも名前だけは知っていたケラリーノ・サンドロヴィッチさん、流石です。他の芝居も観てみたくなりましたよ。
まぼろしの市街戦」のような、現実と虚構が入り交じるような世界観は、頭の中を揺さぶられ、不安にさせられます。そして鳴り響く銃声(西部劇ですからね)。みんな、自分のことしか考えず、でも、“村の掟”は共同で守っていくために殺し合う。うむ、悲劇と喜劇、そして狂気の世界。。。。

そして、そして万理華嬢、いい芝居をしていました。意地悪な宿屋の娘の役で、使用人母子を見下し、無茶なことをやらせる。憎まれ役はとことんイヤな奴、と思われないとダメ。彼女はファンから観ても「意地悪な娘だなぁ」と思っちゃうくらいに役に徹してましたよ。意地悪娘が憑依したんじゃないかってくらい。鳥居みゆきのエキセントリックな芝居にも負けてなかったかも(これはファンの贔屓目か)。良い女優さんになりますよ、きっと。これからの活躍にも期待してます。

★ 公演情報


★ 原作本


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