So-net無料ブログ作成

「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展は素直な気持ちで観るのが一番 [美術 : 美術展、写真展紹介]

IMAG0704.jpg

東京都写真美術館で「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展を観てきました。

★ 展示内容

東京都写真美術館が誇る34,000点以上におよぶ膨大なコレクションの中から選ばれた作品群で構成された収蔵品展。
これまでにも、写真の歴史を追ってみたり、ある時代の写真のトレンドをチェックしてみたり、と色々なテーマがありましたが、今回はいつもとは違うぞ、と感じられるものです。
公式サイトの説明によると、
ただ作品を時代の資料として見て情報を得るというだけではなく、自分の興味にそって作品の中に写っているものをじっ くり見ることで、それまで気づかなかった作品の別の一面に気づいたり、あるいは「わからないこと」を発見しその「わからなさ」をたのしんだり、ということも美術館での「まなび」です。
写真に詳しい方にも、そして当館を訪れるのは初めてという方にも新たな「たのしみ」と「まなび」がきっとあることでしょう。さあ、どうぞ一緒に写真の中へ!
とのこと。

展示構成は以下の通り。
  1. まなざし
  2. よりそい
  3. ある場面
  4. 会話が聞こえる、音が聞こえる
  5. けはい
  6. むこうとこちら
  7. うかびあがるもの
といっても、これだけではどんな作品が並んでいるか想像するのは難しいかも。

「まなざし」では、被写体となっている人々の視線が特徴的な作品が並ぶ。
沢田 教一の「安全への逃避」は、戦渦に逃げ惑い、川を必死で渡る母と子供たちを撮った作品。有名な作品だ。改めて、親子それぞれの“まなざし”を意識してみると、母親は必死になって岸に目をやり、男の子は不安そうな眼差しをカメラに向けている。

「会話が聞こえる、音が聞こえる」では、被写体たちの会話がなんとなく想像できちゃいそうなシーンばかりだ。
W. ユージン・スミスの「たこつぼ壕の中の海兵隊員を見つめる犬」では、戦場の緊迫感をちょっと忘れ、兵士と犬が挨拶をしているように見える。お互いに“今日も元気そうだな!”、“そっちこそ”なんて会話が聞こえてきそう。

「むこうとこちら」では、何かを挟んで対峙している被写体たちや、こちら側のカメラマンに対してあちら側にいる被写体、という作品群だ。
アンリ・カルティエ=ブレッソンの「ニューヨーク、アメリカ」は、船上の一シーンを撮ったもの。はめ殺しの窓の向こうからこちらを笑顔で見ている男が写っている。窓ガラスには、彼が見ているだろう、カメラマンにとっては背中側になる、ニューヨークの街並みが映っている。ガラスを隔てたむこうとこちら、ガラスに映る むこう側の街並みとこちらの景色。むこうとこちらが多重化している。

★ 感想


IMAG0705.jpg

通常、どんな美術展でも写真展でも、展示している各作品にはキャプション(説明書き)を添えるもの。それが今回はないんです。斬新! よく、「作品は自分の感性で、見て、解釈して、楽しめばいい」と言われます。でも、キャプションがついていると、どうしてもそれに目が行っちゃうし、それを読めば分かった気になってしまうもの。中には、作品そのものをほとんど見ないで、キャプションだけを読んで次に行っちゃう人もいますよね。そう考えると、キャプションは実は作品展示・鑑賞には邪魔ものなのかも。そこまで考えたかどうかわかりませんが、今回の展示はタブーに挑戦した訳です。キュレーターはどなたなのでしょうか。かなり大胆な方ですよね。そして、それにOKを出した写美もさすが。

さて、「作品にキャプションがない」と言ったんですが、その代わりなのか、ところどころで「質問」が提示されています。「(写真の中の人は)何を見ているのでしょうか」だとか「どのような会話が為されているでしょうか」、「どのような場面(状況)なのでしょうか」といった感じです。なんとも“オープン”な質問なので、漠然としちゃっていますが、でも写真そのものを見てみれば、問いと同じようなことを(問われるまでもなく)考えている自分に気づきます。人が一杯写っていて、みんな画面の向こう側を向いているのに、一人の女性だけがこっち側を見ている。あれ?この人は何を見ているのだろう?と自然と疑問が湧いてきます。もちろん、写真には“答え”が写ってはいないので、そこから先は想像するしかありません。「こっち側で鳥が鳴いていたりしたんだろうか・・・。それに気が付いたのがこの人だけだったのかな」などなど、知らないうちに頭の中で物語を創っています。おっと、どうやらこれが「たのしむ、まなぶ」ってことなのかな?

知っている作品だと、「ああ。これは誰それが撮ったもので、その時の状況はこうだったそうだ」などと、“知識”が先に出てしまいます。でも、今回の企画展ばかりは、知識よりも作品そのものをもう一度、じっくり観てみる方が楽しめそう。
みなさんもトライしてみたらいかがでしょうか。

★ 写真展情報

「TOPコレクション たのしむ、まなぶ イントゥ・ザ・ピクチャーズ」展は下記の通り、開催中。
  • 会期 : 2018/5/12 (Sat) - 8/5 (Sun)
  • 開館時間 : 10:00 - 18:00 (木・金曜は20:00まで)
  • 休館日: 毎週月曜日(7/16 (Mon)は開館、7/17 (Tue)は休館)
  • 料金 : 一般 500円 学生 400円 中高生・65歳以上 250円 小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害手帳をお持ちの方とその介護者は無料 第3水曜日は65歳以上無料 当館年間パスポート提示者無料(同伴の方1名様まで無料)7/19 (Thu) - 8/3 (Fri) 木・金18:00-21:00は学生・中高生無料
  • 公式サイト : 東京都写真美術館
  • 図録 : 1,620円(税込) 本展および、次回企画展から作品を抜粋して掲載






nice!(9)  コメント(2) 
共通テーマ:アート

nice! 9

コメント 2

JUNKO

行くつもりだったのですが、孫疲れで、一休みしてしまいました。
by JUNKO (2018-05-29 20:14) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
お孫さんと一緒でも楽しめるかも。「この人、なんて言っているんだろうね?」「何を見ているんだろうか?」なんて感じで。
by ぶんじん (2018-05-29 20:35) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント