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興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」 @国立博物館 : 子犬の像がある意味、もっとも衝撃的だった [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

東京国立博物館で開催中の興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」を観てきました。

平安末期の源平合戦の時代、そしてその後の鎌倉時代へと続く、動乱の時に運慶、そして彼の後継者達(慶派と呼ばれている)は武士達の、そして貴族達のニーズを受け、様々な仏像を作り出していった。
無著菩薩立像・世親菩薩立像(国宝:奈良 興福寺)と、それらを囲む四天王立像(国宝:奈良 興福寺)、八大童子立像(国宝:和歌山 金剛峯寺)など、写実的で、力みなぎる体躯の仏像達は観る者を圧巻する。
そんな運慶の作品を中心に、彼の父親であり師匠でもある康慶(こうけい)、息子達(湛慶(たんけい)、康弁(こうべん))や弟子達へと続く継承を辿る展示となっている。
企画構成は
  • 第1章 運慶を生んだ系譜ー康慶から運慶へ
  • 第2章 運慶の彫刻ーその独創性
  • 第3章 運慶風の展開ー運慶の息子と周辺の仏師
の通りで、ほぼ、年代順。

運慶の“デビュー作”とされている大日如来坐像(国宝 : 奈良 円成寺)は智拳印をしっかりと結んだ、スッキリとした印象の仏。これがスタート地点、という感じ。

父の康慶作とされている四天王立像(重文 : 奈良 興福寺)は、近年、息子の運慶の作品ではないかとの説も出ているそうです。朝日新聞でも「興福寺の四天王像、作者は運慶? X線調査で技法解明:朝日新聞デジタル 」。その“ホット”な仏像達も展示中。


インドの学僧だった二人を描いた無著菩薩立像・世親菩薩立像(国宝 : 奈良 興福寺)は、いかにも学者然とした難しげな表情がリアル。今にも二人で問答を始めそう。

一方の八大童子立像(国宝 : 和歌山 金剛峯寺)は賑やか。童子というには顔つきが大人だが、どことなく少年の面影も感じさせる、これまた写実的な感じ。髪型もそれぞれにユニークで、観ていて親近感を感じさせる。当時の人々はこれらの像を見て、仏(の世界)を身近に感じていたのだろう。


運慶が世を去った後も慶派の物資達は鎌倉時代を通して活躍している。
運慶の息子の一人 康弁作の龍燈鬼立像(国宝 : 奈良 興福寺)は、力強さの中にもユーモラスな表情を持ち、独特の雰囲気を出している。ふんどし(?)姿は力士かプロレスラーをモデルにしたような、マッチョな体つきだ。

★ 感想

源平の合戦を経て、武士の世の中になった鎌倉時代。武士達は神仏にすがるにしても、ストレートに強さを求めたのだろう。
毘沙門天立像(国宝 : 静岡 願成就院)は、鬼の形相というよりは、スッキリとした顔立ちの、そこらにいそうな雰囲気の顔つきだ。実際の武士達の中から誰かをモデルにしたんじゃないかと思えるほど。
一方で、四天王立像(国宝 : 奈良 興福寺)の四体はいかにも戦う神々という勇ましい姿と顔つきだ。多聞天像など、左手に持った灯明(?)を高々と掲げ、顔も斜め上を向いている。世界を照らし、敵を蹴散らす決意のようなものを感じさせる。祈りを捧げた武士達も、彼らが一緒に戦ってくれていると信じて戦場に臨んでいったのだろう。
自分にはそんな闘争心は微塵もないが、運慶の仏像を観ているとそんな武士達の心の内をちょっと覗いた気がする。


だが、いちばん驚いたのはそんな仏像ではなく、「子犬」像。犬なんですよ。しかも、写実的で、可愛らしい子犬の像(重文 : 京都 高山寺)。宗教的なテーマ以外のモチーフはとても珍しいんじゃないでしょうか。誰の注文で作ったんでしょうね。いくら武士の世だといっても可愛いものに癒やされたいと願った人がいたということでしょうか。周りの展示作品とのギャップに、思わず見入ってしまいました。仏師達はこんな作品も残していたんですね。いや、知らなかった。


普段はお寺の奥の方に恭しく仕舞われて、なかなか観ることのできない作品も多いだろうし、こうして一カ所でまとめて観られる機会もそうそうないでしょう。観るべきですね、これは。

★ 美術展情報

「運慶」展は下記の通り、開催中。






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JUNKO

丁度上京中なんですが、混むでしょうね。
by JUNKO (2017-10-05 21:18) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
上記のTwitterの情報によると、平日はそれほどでもないみたいですよ。
by ぶんじん (2017-10-05 22:24) 

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