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「古生物たちのふしぎな世界」 恐竜よりも前に地球に現れたのはこんな連中だった [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

地球誕生は46億年前とされている。37億年前の地層から、生命活動の痕跡が見つかったとの報告があるが、確定はしていない。はっきり認められているのは34億年前の物だ。
その後、突如として生物は爆発的な広がりを見せる。6億3500万年前から5億4100万年前の、先カンブリア紀(カンブリア紀の前の時代、の意味)末期のエディアカラ紀には、「エディアカラ生物群」と呼ばれる連中が現れた。彼らは骨格や殻を持たなかったため、化石にはその跡だけが残っている。この時代には“捕食者”はまだいなかったのか、彼らはそんなひ弱な身体でも大丈夫だったのだ。
だが、古生代に入り、彼らはほぼ全滅する。新たな動物群が現れたからだ。そして、本書はそんな連中が現れ、そして恐竜の時代が始まるちょっと前まで続いた「古生代(5億4100万年前~4億8500万年前)」の物語である。

この時代からのち、現代に至るまでは大きく「顕生累代(けんせいるいだい)」と呼ばれている。生物がはっきりと確認できる時代という意味。顕生累代はさらに「古生代」、「中生代」「新生代」に分けられている。大雑把に言うと、「中生代」の主役は恐竜で、「新生代」は哺乳類の時代と言える。

「古生代」はさらに古い方から「カンブリア紀」「オルドビス紀」「シルル紀」「デボン紀」「石炭紀」「ペルム紀」の六つの時代に分けられている。
「カンブリア紀」の地球は、南半球に超大陸ゴンドワナ、南半球中緯度にバルティカ大陸、低緯度にローレシア大陸とシベリア大陸があった。といっても、まだ緑の植物は存在していなかったため、陸地は荒野が広がっているだけだった。命の舞台はもっぱら海の中だ。
「カンブリア紀」には、かの三葉虫が現れる。今は絶滅してしまったが、一万を越える種が報告されている、化石の王様のような存在だ。
さらに不可思議な生物がこの時代にはいた。有爪動物のハルキゲニアや、アノマロカリスはカンブリア紀に現れ、栄えた。カンブロパキコーペは複眼を持っていたが、一つ目だった。ヤウニックは四つの並んだ目を持っていた。オパビニアは五つの目と、象の鼻のような芬(ふん・長く伸びた口)(?)を持っている。
我々の生きる現代には、35の「門」に分類される動物たちが知られている。節足動物門、軟体動物門、環形動物門などだ。それらがこの「カンブリア紀」に一気に現れている。
もっとも、化石の記録を見る限りの判断であって、「カンブリア紀」以前にも彼ら(の祖先)はいたかも知れないが、化石が見つかっていないので判断できないのだ。
実際、遺伝子の突然変異の累積などから測定する“分子時計”によると、カンブリア紀よりもさらに数億年古い時代に、この「門」の分散が起きたと推測されている。

哺乳類はまだこの時代には現れていない。その祖先である脊椎動物の中で、魚の仲間のミロクンミンギアが「カンブリア紀」には存在した。彼らは「無顎類」と呼ばれ、その名の通りに顎を持っていなかった。また、鱗もない。獲物を噛むことも、噛まれるのを防御することもできない存在だったのだ。

★基本データ&目次

作者土屋健
発行元講談社ブルーバックス
発行年2017

  • プロローグ-前夜-
  • 第1章 勃興
  • 第2章 節足動物と軟体動物の支配
  • 第3章 革命
  • 第4章 祖先たちの王国
  • エピローグ

★ 感想

グールドの「ワンダフル・ライフ」で一躍有名になったカンブリア紀の生物たちだが、その後の研究でだいぶ“不思議さ”は減っていった。だが、それでも現生動物のボディプラン(身体の構造)とは異なった彼らの姿には興味が尽きない。
さて、スターダムにのし上がったアノマロカリスやハルキゲニアだが、彼らに続く古生代の生物にはどんなのがいたのか、いつ現れ、そして消えていったのか、実はよく知らなかった。そんな辺りを本書は分かり易く概観してくれている。
特に、両生類がついに地上へと歩みを始める辺りは面白かった。こんな巨大な両生類がいて、その時代には食物連鎖の頂点に君臨していただろうといわれているなんて。今の蛙やサンショウウオからは想像できない。
爬虫類も、何でこんなにずんぐりむっくりした体つきだったのか不思議さ一杯。頭があんなに小さくて、胴体はでっぷりしているなんて。お腹が邪魔で、地面に顔を持って行けない、つまりは水を飲むことができない構造だったのだ。靴下を履くのにお腹が邪魔になる私としては、やけに親近感が沸いてくる。両生類・爬虫類というと“そんなの知っているよ”と思いがちだが、当時のご先祖様は“ワンダフル・ライフ”と同じくらいの不思議さを持っている。いやぁ、興味は尽きませんね。

恐竜たちに比べると馴染みの薄い連中の話ですが、著者の軽妙な喋り(?)のお蔭で飽きることなく読めます。また、再現図(挿絵)はカラーで、不思議な体つきの彼らの姿を分かり易く伝えてくれています。
さらには巻末の文献一覧も充実しているので、入門書としてグッド。まずはこれで概観し、その後は文献にも紹介されている、私も読んだことのある「絶滅古生物学」」や「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」などに進んで行けば興味は倍増しますよ。

おすすめの一冊です。

電子版 「カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史 (ブルーバックス)



新書版




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