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「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」@東京都写真美術館 日常の風景がこんなにもパワフルだとは [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

東京都写真美術館で開催中の「総合開館20周年記念 荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」展を観てきました。

公式サイトの説明によると、
本展は、膨大な作品群から、妻、「陽子」というテーマに焦点をあてた展覧会です。荒木 自らが「陽子によって写真家になった」と語るように、1960年代の出会いから1990年代のそ の死に至るまで、陽子はもっとも重要な被写体であり、死後もなお荒木の写真に多大なる 影響を与え続けてきました。本展では、陽子を被写体とするものや、その存在を色濃く感じさせる多様な作品を通して、荒木が重要視している被写体との関係性を探り、またその写真 の神髄である「私写真」について考察していきます。

展示は、そんな写真集からのものだったり、シリーズ作品だったりでまとめていて、以下のようにグルーピングされています。
  1. プロローグ
  2. センチメンタルな旅
  3. 東京は、秋
  4. 陽子のメモワール
  5. 食事
  6. 冬の旅
  7. 色景
  8. 空景
  9. 近景
  10. 遺作空2
  11. 三千空
  12. 写狂老人A日記2017.1.1-2017.1.27-2017.3.2
  13. 愛しのチロ
  14. エピローグ

「センチメンタルな旅」は自費出版された写真集ですが、東京都写真美術館で収蔵している108点を一堂に展示しています。大きく引き伸ばされた作品群は見応え有り。

「センチメンタルな旅、冬の旅」は、妻の陽子の闘病生活から葬儀後までの作品をまとめたもの。日付入りで写されたそれらはまさに「私写真」。亡くなったその日の日付の作品もある。

妻を亡くした喪失感からか、自宅から写した空の作品が並ぶ。「空景」は、モノクロームの空の写真にペインティングをしてあり、虚無感の中にあるやりきれない感情が吹き出している。

★ 感想

荒木経惟(あらきのぶよし)も、その代表作の「センチメンタルな旅」も、もちろん知ってはいたけど、これだけじっくりと、しかもちゃんとプリントされた作品(写真集ではない、と言う意味)を観たのは初めて。“天才アラーキー”と呼ばれている訳ですが、確かにその通りだなぁと納得したのでありました。

普段の生活をそのまま写す。旅行先で風景や人物を写す。被写体は自分の奥さん。これだけ聞けば、どこの誰でもやっている、ごくごく普通のスナップ写真だ。でも、そんな普通の写真とは何か違う。
どこにでもある、どこか見ただけでは分からない、普通の地方都市の通りを写した一枚。旅先で、とりあえず「ここに行きました」記録のために写したような一枚なのだが、でも違うのだ。そこには通りを歩き去ろうとしている親子が写っていて、怪訝そうにこちらを振り向いている。
路面電車だろうか(京都の嵐電?)、向かい合う座席の乗客たちを写した一枚。「こんな感じのローカル路線に乗りました」記録のような一枚。でも、これまた違和感がある。端の方に写っている男性が、こちらを見ているのだ。
この二枚。どこにでもあるような風景なのに、親子の、男性の視線によって急に“写真を撮っている自分”が意識に上ってくる。なんとも言えない、落ち着かない雰囲気はそこから来るようだ。日常の風景に対峙している自分を意識するという、独特の緊張感を感じた。

そう言えば、奥さんを被写体にしているのだが、そこに笑顔はない。いや、表情がない作品が多い。なにを思っているのか掴みかねる。静かな力強さでこちらを見据えているその視線によって、これまた“写真を撮っている自分”が急に意識させられる。

本人がどういう想いで撮っているのかは知る由もないが、私にはそんなじっとりとした緊張感がどの作品からも感じられ、引きこまれてしまった。もし、そんなことを意識しながら撮っていたとしたら、これだけの枚数を撮るのにどれだけ神経をすり減らしたのだろうかと考えてしまう。それでも撮り続けているんだから、ものすごい精神的パワーだ。アラーキーさんて、そんなタフな人なのだろうか。

今でも日々、かなりの枚数を撮り続けているアラーキーさん。やっぱりすごい人なのだなと改めて感心したのでありました。
東京オペラシティ アートギャラリーでは「荒木経惟 写狂老人A」展が並行して開催されているそうで、そっちも観に行ってみようかな。

★ 美術展情報

「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」展は下記の通り、開催中。






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コメント 2

JUNKO

これは行けます。私も荒木さんこそ天才と思っています。すごくロマンチストで暖かなハートの持ち主だと写真を見て感じます。ぜひ上京した折に行ってみたいと思います。
by JUNKO (2017-08-02 09:45) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
東京オペラシティ アートギャラリーと、互いの半券で割引になるようです。ご参考まで。
by ぶんじん (2017-08-02 12:12) 

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