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現代思想 2017年2月臨時増刊号 「神道を考える」 : こんなにカオスな世界なのか。サッパリ分からん [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

神道とは何か。現在、「日本の有史以来の土着信仰として、歴史的変遷を超えていき続いてきた伝統」が神道とされている。しかし、イスラム教と比較すると、イスラムの教え(神学)があってのモスク(イスラム教の寺院)という関係に対し、神道は神社の存在が先に有り、その存在に則って二次的に言論化されたものだ。実際、神道よりも神社の方が歴史はかなり古い。
記紀の時代には、「神道」という言葉は、仏教の世界における鬼神の思想に対して使われた用語だった。その時代には、天神地祇(てんじんちぎ:略して神祇)と呼ばれていたものが、現代の神道に当たる。そして、律令において神祇祭祀が定められていた。
天神とは天の神様のことで、地祇とは国の神様を示す。天皇が祀る天神と、各地の氏族が祀る地祇とが明確に分離されていて、それぞれ不介入なものとなっていた。これは当時の政治体制そのものである。
その後、体制が中央集権的になっていくに従い、国家祭祀へと収斂していく。

中世(鎌倉時代~室町時代)になると、「神道」の概念が整理されていき、様々な流派が生まれてくる。その集大成的なものが吉田兼倶による「吉田神道」だ。それまでが、仏教の教義の中、もしくは仏教ありきで語られてきた神道だったものを、独立したものとして流派を打ち立てた。
ただ、彼が教義をまとめるに当たって“引用”した(とされる)経典・文書・(神社の)縁起のほとんどが偽作か、もしくは彼自身による創作だった。主著である「唯一神道名法要集」も、吉田卜部氏の遠祖のものとしていたが、実際は彼の著作物である。
だが、神道を独立した宗教として確立させた功績は大きい。

★基本データ&目次

発行元青土社
発行年2016
ISBN9784791713363

  • 討議1 隠された神々の世界を求めて
  • 討議2 歴史としての神道
  • 神道とは何か
    • 神道の概念化とユートピア
    • 神道と祭祀
    • 幽と顕の系譜と葛藤
    • イザベラ・バードの見た神道
    • 翁―古くて新しい超越性の誕生
  • 神道と国家
    • 神道と国体論・天皇崇敬
    • 明治政府新造の人格神 墓を抱え込んだ神社と脱落させた靖国神社
    • 神道における公共性 改憲論 対 生前退位メッセージ
    • 吉本隆明・記紀書・南島論
  • 中世神道の世界
    • 吉田兼倶の「神道」論
    • 中世の諏訪 「南宮」と諏訪流神道をめぐって
    • 中世神道研究の現在
  • 創造される神話
    • 八百万の神達 「梵天帝釈、無量の天使・・・」?
    • 王仁三郎序説
    • 本居宣長と平田篤胤は神道をいかに再構築したか
    • 反転する神学 中世における「神道」成立の機制をめぐって
  • 神道の可能性を考える
    • 神々を選んだ山上憶良 遣唐使と神
    • 神道、あるいはシニフィアンの宗教
    • ふたりの「愛ランド」 <結婚>の先例としての国生み神話
    • 神をよせる女たち
    • 家・中国化・メディア 折口信夫「死者の書」の構造
  • 変貌する神道
    • 神道・大嘗祭・折口信夫 <神道>はいかにして可能か
    • 近代仏教と神道
    • 古事記のなかの神武天皇
    • 「神道に於ける根本問題」 折口信夫のムスビ論

★ 感想

キリスト教やヒンドゥー教の本は良く読む。“外国”文化を知るための基礎知識だと思っているから。そして、その裏返しとして、日本のことについてはなんとなく理解しているつもりでいた。でも、こと神道については誤解していることばかりだったようだ。
統一的な聖書・聖典の類がないことは知っていたが、古事記や日本書紀、その他の風土記などの集合体として、もう少しまとまっているもだと思ってました。神話を宗教として固めていく時期にはもう、外来の仏教が大きな勢力となっていたからなのかな。

他にも、「森羅万象には全て神が宿り、それを八百万の神々と呼んでいる」という考え方は、実は最近のものだったというのにも驚き。少なくとも記紀の時代の“八百万の神々”という言葉には、自然崇拝やスピリチュアルな要素はなかったとのこと。戦前の天皇崇拝のための国家宗教となった神道が、戦後に原点回帰してアミニズムの要素を“新たに”採り入れた、ということなのかな。

この感想を書いていて、自分の理解がこれで正しいのか自信が持てない。それほどに、神道自体が混沌としたものだし、自分のこれまでの知識も乏しいものだったということ。そして、本書によってそれが認識できたことが、まずは収穫。
もうちょっと勉強しないとダメですな、これは。それに気づかせてくれた本書に感謝。
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