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「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション」展 菊池智さんの想いを知る [美術 : 美術展、写真展紹介]

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智美術館 - Musee Tomoで開催中の「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション」展 ブロガー内覧会に参加してきました。
例によって、特別の許可をいただいて写真撮影しています。

★ 展示内容

今回の企画展は、いわゆる“収蔵品展”です。タイトルの通り、美術館の創設者であり、現代陶芸のコレクターでもあった菊池智さんのコレクションを通し、氏の人となりを知ってもらおうとのこと。また、美術館の歴史についても解説があります。

父親である菊地寛実(かんじつ)氏は炭鉱経営をしていて、徴用で働きに来ていた瀬戸出身の陶工のために登窯を作ったのだそうです。そこに娘の智さんが訪れ(疎開してきたのだそうです。時代ですね)、陶芸の素晴らしさを知るきっかけとなったのでした。そこから智さんは陶芸作品のコレクションを始め、後にギャラリー「現代陶芸寛土里(かんどり)」をオープンさせ、さらにこの世界にのめり込んでいったのでありました。
女性の身でありながら、という表現はジェンダー的に問題ありそうですが、とにかく彼女自身が作品を集め、そしてこのような美術館を建ててしまった人物なのです。すごい方ですね。残念ながら昨年、他界されたのですが、こうして美術館とそのコレクションという形あるものを後世に残してくれたのです。

そんなコレクションから、智さんが気に入っていたり、目を付けていたり、逆に影響を受けたりした作家たちの作品を57点チョイス、展示しています。

中村謹平さんの壺(?)。蓋の部分に不思議な紋様が描かれています。いや、スタンプされているといった方がいいかな。なぜか「る」の文字がペタペタと。どういう意味?!
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富本憲吉さんの飾り箱。使い勝手が良さそう。
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菊池智さんは、日本の陶芸を海外にも知ってもらうべく、米国スミソニアン自然史博物館で美術展を開催したのだそうです。その美術展自体は大成功し、さらに展示デザイナー、リチャード・モリナロリ氏との出会いがこの場であったのも収穫。というのも、智美術館の展示スペースそれ自体のデザインを氏に依頼することができたから。今の形は“二代目”。最初の展示スペースも、二代目もモリナロリ氏が手がけたのでありました。
訪れるたびに思っていましたが、この美術館の魅力はやっぱりこの展示スペース。落ち着きますよね、この雰囲気。そして、作品を生で(ガラスケースに入れられることなく)観ることができるのもポイントが高い。
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加藤唐九郎さんの大皿は、不思議な存在感。ゴツゴツザラザラしているし、フチはひび割れちゃっているし。上手いのか、下手なのか。。。
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川瀬忍さんは、智さんが“若い頃から目を付けていた”作家さんなのだそうです。
この足、こんな格好をしているのに轆轤を使って作られたもの。どうやって?!って感じですし、この長さ(高さ)でバランス良く焼き上げるのもすごいなと。焼き物は、焼いているときにどうしても変形してしまうもの。自立できるほどにきっちり長さを合わせるの、大変そう。
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このような作品の価値をちゃんと見いだしてコレクションに加えた智さん、さすがです。
焼き物で空き缶を作っちゃったり、ハイヒール作ったり。しかも、これまた轆轤で作られているってのがどういうこと?!って感じです。現代陶芸、シュールですな。
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と思えば、深見陶治さんの作品は、陶器というより“セラミック”と呼びたい感じ。こちらは型に流し込んで、さらにはプレッシャーも加えてこのエッジの効いた作品に仕上げているのだそうです。
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ぱっと見に「これ、金属?」と見間違ってしまうのですが、立派な(?)陶器です。でも、何を表しているんでしょうね、これ。私には“フロイト的発想”しか思い浮かばないのですが・・・。
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なぜ陶製の“椅子”が必要だったのか。いや、必要性があったからと言う訳ではないでしょう。キャスターっぽい足まで付いていて、ちょっと曲がっているところは芸が細かい。もちろん、陶製なので動きません。用の美とは良く言うけど、使えそうで使えないのはどう扱えばいいのでしょう。現代陶芸、奥が深い。
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★ 感想

作品とともに、菊池智さんや美術館の説明書きもパネルとして展示されています。それを読みながら改めてこの展示スペースを眺めると、一人のコレクターの生き様が静かに、でもしっかりと見えてくる気がします。
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そう言えば、この美術館の学芸員さん、スタッフさん達はみなさん女性。それもこだわりなのかな。


陶芸に限らず、“現代美術”って価値をどのように見定めるか難しそう。すごい技術を使っているだとか、誰にも真似できない技によるものってのは、それはそれで価値はありそうだけど、美術品としてはまた意味合いは違いそう。
アンディー・ウォーホルのキャンベル缶の絵だったり、村上隆のアニメのような作品だったり、陶製の空き缶だったり。美術的な価値をそこに見出す、もしくは付与する時、人は何を考えているのでしょうね。
権威に裏付けされ、価値評価の定まっているものをコレクションしようというのは分かり易いけど、これだ!と自らそこに価値を見出して集め出すって、それはそれで目利きというか、センスというか、度胸がないとできそうにない。
もちろん、作品は作家の才能によって生み出されるもの。でも、それを見出し、さらには世に広めようとする人がいなければなかなか“価値あるもの”にはなっていかない。それはSNS全盛の今だって本質的には変わらないだろう。

何が言いたいかだんだん分からなくなってきたけど、とにかく「マダム菊地」さすがです。

★ 美術展情報

「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション」展は下記の通り、開催中。
  • 会期 : 2017/6/10(Sat) - 9/3(Sun)
  • 開館時間 : 11:00 - 18:00
  • 休館日: 月曜日 , 7/18(Tue) : 7/17(Mon)は開館
  • 料金 : 一般1,000円 学生 800円 小・中・高校生 500円
  • 公式サイト : 最新の展覧会 | 智美術館 - Musee Tomo
  • 図録 「珠玉の現代陶芸 マダム菊池のコレクション」





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コメント 2

JUNKO

7月は行けないな。9月以降でも何かありますよね。
by JUNKO (2017-06-15 17:58) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
9/16-12/3 「八木一夫と清水九兵衞 ―二人のパイオニア」展が予定されているようです。
by ぶんじん (2017-06-15 21:37) 

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