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ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル 「バベルの塔」展 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 展示内容

東京都美術館で開催中のボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展を観てきました。公式サイトの説明によると、
ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作でご紹介します。
迫真の写実と輝くような美しい色彩が印象的な油彩絵画、ボスの怪物モチーフが所狭しと、描かれる版画作品、そして木彫の粋を尽くした彫刻作品など、16世紀ネーデルラント美術の精華をご覧いただきます。
とのこと。さらには、CGによって再現された「バベルの塔」も展示(上演?)されていて、細部までより詳しく見ることが出来るようになっています。

展示構成は、
  • Ⅰ 16世紀ネーデルラントの彫刻
  • Ⅱ 信仰に仕えて
  • Ⅲ ホラント地方の美術
  • Ⅳ 新たな画題へ
  • Ⅴ 奇想の画家ヒエロニムス・ボス
  • Ⅵ ボスのように描く
  • Ⅶ ブリューゲルの版画
  • Ⅷ 「バベルの塔」へ
の通り。

現在のオランダ・ベルギー・ルクセンブルク・フランス北部・ドイツ(の一部)辺りがネーデルラント。
中世の頃はネーデルラントでも芸術は、宗教(キリスト教)を主たるテーマとしていた。キリストや聖人達が主人公となっている絵画・彫刻が数多く制作されている。

だが、16世紀も後半になってくると、依然として宗教画が中心ではあるものの、その描き方がだんだんと変わってきた。その一つは“風景画”。キリストや聖人を描いてはいるものの、その背景としての“風景”も同じくらいに丁寧に描かれるようになっていった。やがては風景自体が主体の作品も生まれてくる。新たな画題の獲得だ。

もう一つの流れがヒエロニムス・ボスによるもの。「放浪者」や「聖クリストフォロス」など、テーマはキリスト教に倣ってはいるものの、彼の絵には庶民の暮らし・風俗・習慣などがそのまま描かれ、さらには奇想天外な生物(?)が山のように登場するのだ。
「放浪者」で描かれた男は、背負子にスプーンを挿している。この時代、料理店などで出される食事にはスプーンやフォークは添えられていない。客はスプーンを持参しなければならないのだ。さもなくば手づかみが普通だった。そんな細かなところも描かれている。
かと思えば、「聖クリストフォロス」では、木の枝に乗っかった壺の中になぜかこびと(?)が住んでいたり、町外れの家からは獣のような怪物が顔を出している。

ヒエロニムス・ボスの“画風”は人気となり、その後、彼の描いたモンスター達をモチーフにした類似作品が多数作成されている。
ピーテル・ブリューゲルもその一人。そしてブリューゲルは徐々に自分の画風を確立していき、さらなる傑作を生み出していったのだ。その一枚が「バベルの塔」だ。
その作品は細部にまでこだわったリアリティで埋め尽くされている。建築にも造詣の深かったらしいブリューゲルは、バベルの塔“建築現場”を描くにあたり、当時の建築技法を正確に描写しているのだ。煉瓦を持ち上げるクレーンだったり、足場の組み方だったり。
バベルの塔は、人間の傲慢さの象徴であったはずだが、そこに描かれているのは、英知を集め、そして協力して巨大事業を成し遂げようとしている人々の姿なのだ。

★ 感想

ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」は二つの別々の作品が知られている。今回展示されているのはあとから制作されたもので、一枚目に比べるとより壮大で、かつ塔も巨大になっている。一枚目の作品は私もウィーン美術史美術館で観たことがあった。そちらは、人々の姿も大きく描かれ、かなり目立っていた。それはそれで当時の風俗が知れて面白かった。
そして今回の二枚目の作品。こちらはまさに塔の巨大さに圧倒されるばかり。スケールアップ感が半端ない。ちょっと暗めのトーンも、その重厚さを増している。

今回の企画展では、単に「バベルの塔」の作品をポンと一枚、展示するだけではなく、その部分部分を引き伸ばしたものを多数、展示していた。また、CGによる“解析”イメージも動画で上映されている。虫眼鏡を使わないと見えないだろう部分をより良く理解できるようになっていた。グッド、グッド。
例えば、クレーンで漆喰を運んでいる様子を、実際に動きを付けて見せてくれるのは分かり易い。さらにはその漆喰を被っただろう作業員が、全身真っ白にしているところも大写しにしてくれていた。

逆に、虫眼鏡サイズの緻密さでこの作品を作り上げたピーテル・ブリューゲルの技術と努力に改めて驚かされた。今ならば、CGを使って各パーツを作成し、それらを小さくリサイズして組み合わせる、なんて感じで作れるだろう。でも、この時代にはそんなものはあるはずなく、製作方法が想像できない。いやぁ、すごいものだ。


ボスにしろ、ブリューゲルにしろ、とにかく細かいので、作品を一枚一枚見入ってしまう。でも、やっぱり人気ですね。開場前にこの行列。会場内もそこそこ混んでいた。思ったよりも体力が必要ですよ、全部きっちりと見るには。おすすめの企画展ではあるものの、気合いを入れて見に行ってくださいませ。
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★ 美術展情報

「バベルの塔」展は下記の通り、開催中。

ユニークなキャラクターが一杯の、ボスやブリューゲルの絵画。それらをモチーフにしたフィギュアも売ってます。私は、「キャラクターフィギュア付き前売り券」を購入していたので、こいつをゲット。“大きな魚が小さい魚を食べる(弱肉強食)”がモチーフなのかな。
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