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「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」展 二百年前の二都物語。似てる?似ていない? [美術 : 美術展、写真展紹介]

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[コピーライト]2017 Sekiguchi Co., Ltd.

★ 展示内容

江戸東京博物館で開催中の「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」展ブロガー内覧会に参加してきました。例によって、特別に許可をいただいて写真をとらせてもらっています。通常は写真撮影禁止ですのでご注意を。

公式サイトの説明によると、本企画展の主旨は、
江戸の人口が100万人を超え、都市として発達を遂げた18世紀は、北京が清朝の首都として最も繁栄を極めた時代でもありました。日本と中国には文化交流の長い歴史があり、江戸時代の「鎖国下」においても中国貿易は公認され、長崎を窓口として、文物の流れが滞ることはありませんでした。本展では、18世紀を中心に、江戸と北京のなりたちや生活、文化を展観し比較します。
とのこと。

展示構成は大きく、
  • 第1章 江戸・北京の城郭と治世
  • 第2章 江戸・北京の都市生活
  • 第3章 清代北京の芸術文化
の三つに分かれています。

第1章では、三巻の巻物が展示されています。
一つは「熈代勝覧」。十九世紀初めの江戸日本橋の様子を描いた絵巻で、1671人もの人が描かれており、当時の風俗・習慣が良くわかるものになっています。現在はベルリン国立アジア美術館所有となっていて、久しぶりの里帰り展示とのこと。
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もう一つは「乾隆八旬万寿慶典図巻」。有名な清朝の皇帝 乾隆帝の八十歳祝賀パレードを描いたもの。1790年のことだそうです。こちらも、離宮から紫禁城に至る街並みや、見物客などが事細かに描かれています。
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三巻目は「万寿盛典」。乾隆帝の父親である康熙帝六十歳の式典の様子が描かれています。こちらも、通りに並ぶ商店や、そこを行き交う人々の様子を見て取ることができます。

それぞれの巻物に描かれている商店の看板や、カゴ、商人が担いでいる道具などの実物も併せて展示してあり、より“立体的”に当時の様子を知ることができるようになっています。
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また、余りに細かく描かれているので、部分的に引き伸ばしたものが併せて展示されているので、参考にされるといいでしょう。

第2章では、北京の四合院造り、江戸の長屋の模型など、より当時の生活に密着した展示になっています。
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年中行事につきものの飾りだったり、当時の服装だったり、遊び道具だったり、科挙(当時の役人登用のための試験)の答案用紙(!)だったりが並び、北京と江戸とで「似てるなぁ」、「やっぱり違うなぁ」とそれぞれに思わせてくれる内容になっています。
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第3章は北京にある首都博物館の名品の展示。景徳鎮の大皿(丸い板?)だったり、沈銓(沈南蘋:「「世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画」展トークイベントはアートと歴史ミステリーと江戸文化論と盛りだくさん」でも語られていた南蘋派の祖)の鹿の絵だったりが展示されています。
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その他にも、江戸城・紫禁城をCGで再現した、それぞれ十分程度の映像を鑑賞できるコーナーもありました。紫禁城はやっぱり大きいなぁと実感。CGによる“プチ”バーチャル見学ができます。
個人的には、内裏の中心である大和殿広場の造りが、いわゆる四合院造り(広場を中心に、三方を建物で囲み、残り一方に門を配する、中国都市部の特徴的な建築様式)になっているという説明に「なるほど!」と感嘆。(四合院造りに関しては「中国の都市空間を読む(山川出版:世界知リブレット)」などを参照してください。)
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★ 感想

私が北京で胡同の街並みを見物したのはもう十年近く前(「Rolleiと北京出張 その2 什刹海の胡同巡り」)。その後も、「「帝都東京を中国革命で歩く」 戦前、中国には日本への留学ブームがあった」や「「老北京の胡同 開発と喪失、ささやかな抵抗の記録」 庶民の歴史を残すことの難しさ」なんて本を読むことを通して、北京の街並みを懐かしんでいました。
そんな魅力的な北京の街と、江戸の街とを比較してみようという今回の企画展、とても興味深いものでした。

そんな中、いくつか、気が付いた・気になったことを四方山話に。
一つ目は、絵巻の中で、北京の人々はほぼ全員が帽子(笠?)を被った姿で描かれていること。何せ、乾隆八旬万寿慶典図巻」、「万寿盛典」にはそれぞれ千人以上の人が描かれているそうなので、全てをチェックしたわけではありません。でも、ツラツラと眺めるに、みんなそうなんですよ。お祝いのパレードを描いた絵巻ですから、こういう場では帽子(笠)を被るのがしきたりなんですかね。それとも、普段でもそうしていたのかな。清朝の人には弁髪が多いのかな?と思って、弁髪姿を探そうとして気が付いたのでした。うむ、この風俗・習慣、気になります。

二つ目は、はやり北京は多民族・多文化都市だったのだなと思ったこと。「熈代勝覧」にはたぶん、出てこないと思うのですが、「万寿盛典」には回教徒(イスラム教徒)向けの食事を出す露店、なんてのが描かれています。日本だと、「「沈黙 Silence」 原作をとても丁寧に映像化している。そして窪塚洋介は、日本のユダを見事に演じていた」などに描かれているように、基本的には宗教の統制などがされていた訳です。が、北京は西方からの往来者・移民も多くいたのでしょう、かなり国際的です。
まあ、清国自体が、漢民族ではない北方の人々による王朝だったことだし、多様性は大きかったのでしょう。
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と、そんな違いがありつつも、「年中行事」を紹介したコーナーでは、やっぱり似ているなぁと改めて思わせてくれます。まあ、中国がルーツのイベントを日本が取り入れたからでしょうけどけどね。節句の祝いの際に鍾馗様の絵を飾って魔除けにするなんてのは日中問わず広まった伝承なんだなと感心してしまいます。
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互いの違いや共通点双方を知ってこそ、より深く理解し合えるというもの。色々とギクシャクしがちですが、相手を理解するのにとても良い企画でしたよ。これは観るべき。おすすめです。

そうそう。「老北京の胡同」で出てきた、“ペットの鳩に笛を付けて飛ばす風習”ですが、その鳩笛の実物も展示されてました。こんなところで本物を目にするとは。意外に大きくて、これをくくりつけられたらちょっと迷惑だなと、北京の鳩に同情心も芽生えたのでありました。
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★ 美術展情報

江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」展は下記の通り、開催中。






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コメント 4

ぴーすけ君

2つの国の18世紀を見て楽しめる展示会のは
興味深いです。行ってみたいと思いました。
by ぴーすけ君 (2017-03-17 11:41) 

ぶんじん

ぴーすけ君さんへ:
江戸東京博物館らしい、ユニークな企画展でした。おすすめですよ。
by ぶんじん (2017-03-17 14:38) 

JUNKO

貴重な珍しいものが沢山展示されているようですね。ひょっとしたら会期に間にあう上京になりそうです。
by JUNKO (2017-03-17 15:01) 

ぶんじん

JUNKOさんへ:
博物館の隣には国技館もありますし、周りには見るべきものも色々。美術展共々楽しめると思いますよ。
by ぶんじん (2017-03-17 19:08) 

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