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「進化の教科書 第1巻 進化の歴史」 : これは分かり易い。種の概念自体が問題なのが分かった [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

地質学者は放射性同位体を使って岩石の作られた年代を測定することが出来るようになった。グリーンランドから見つかった岩石には37億年前の炭素が含まれていた。これを最古の生物の痕跡と唱える学者もいる(異論あり)。真正細菌の鉱物化作用によって形成される層状構造物を「ストロマイト」と呼ぶが、34.5億年前のストロマイトを発見したという報告もある。

現生種のDNA解析によって生物全体の系統樹を作る試みも為されている。それによると、生物は真正細菌、古細菌、真核生物の3つのドメインに分けることが出来る。
進化における大きな節目は多細胞生物の出現にある。単細胞の真正細菌とは全く異なり、巨大化していくことができた。だが、系統樹によると多細胞化は一回だけの出来事ではなく、何十回も起きたと考えられる。例えば、真正細菌は通常は単細胞だが、バイオフィルム(ゼラチン状のシート)によって複数の細胞が集まってた細胞生物のような構造を撮ることができる。そのような状態から多細胞化へと進む道があったと考えられる。

ところで、進化とは生物の“種”が変化して新たな“種”になっていくことと考えられるが、そもそも“種”とは何かを正しく定義するのは難しい。これまでに二十五の異なった定義が提唱されているそうだ。
鳥類学者エルンスト・マイアによる生物学的種概念は「実際に、または潜在的に交配可能な個体群で、他の同じようなグループから生殖的に隔離されている」ものとした。だが、この定義は性のあるものにしか適用できない。
また、系統学的種概念では、種は系統樹の“末端”として認識される。このような定義もある。
現在、一つの概念で種を定義することはできない、というのが多くの生物学者による共通認識となっている。

★基本データ&目次

作者Carl Zimmer, Douglas J. Emlen
発行元講談社(ブルーバックス)
発行年2016
ISBN9784062579902
訳者更科功, 石川牧子, 国友良樹

  • 第1章 岩石の語ること
  • 第2章 種の起源
  • 第3章 大進化
  • 第4章 人類の進化

★ 感想

ブルーバックスでは「「アメリカ版 大学生物学の教科書  第1巻 細胞生物学」」に続いて、今度は進化学の教科書が登場。このシリーズ、良いですね。教科書なんでしょうけど、読み物としてとても面白く、興味深く、読むことが出来ます。もちろん教科書なので、系統的に、そして網羅的に記述がされていて、この分野を概観するのにピッタリ。

特に興味深かったのは「種の概念」の議論。エルンスト・マイアによる生物学的種の定義が単体で分裂するような生物(例えば真正細菌)には適用できない、と言うことは知っていた。だが、結局は統合的・統一的定義は存在しないのだという結論には驚いた。こんな結論を堂々と書いちゃうところが、教科書ってこういうものという思い込みを打ち砕いた感じでグッド。

確かに、なにごとも“周辺”というのはぼやけていることが多い。種の中の個体の“個性”なのか、それともそれが本質的違い(種を分けるほどの違い)なのか。“平均”の近くだったら、まあ一緒だよなと認識されるだろうけど、それからズレていくとだんだんと“違う”ものになり、“知らないうちに”別の主になっているという感じなのだろう。

でも、そんなフワフワした定義なのだが、やはり生物は“進化”している。それこそ系統樹の端と端ではどうみても違った生き物だ。チンパンジーと人とは異なった“種”だろう。自分で考え、納得する必要がある。なるほど、教科書としては理想的な書き方なのかも。

日本版は全三巻に分冊されていて、今は二巻目まで出ているのかな。“教科書”と謳われているけど、気軽に読めます。それでいて内容はしっかりしている。おすすめの一冊です。
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こちらは二巻目。
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