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「沈黙」 : 殉教者がもがき苦しんで死んでいっても沈黙を続ける神とは [読書 : 読んだ本の紹介]

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★あらすじ

島原の乱のあと、日本ではキリスト教に対する弾圧が徹底された。イエズス会から派遣された“地区長”(日本での最高の職)のフェレイラ教父も「穴吊り」の拷問を受け、棄教したとの伝わってきていた。ポルトガルにもこの話は伝わり、ある修道院では、かつてのフェレイラ教父の教え子たち(今や司祭となっていた)が日本に行き、布教の火を消さないようにしたいと使命感に燃えていた。
かくして、三人の若き司祭がポルトガルを旅立った。苦労してマカオにたどり着き、そこで日本へ密航できる船を探した。運良く、マカオで一人の日本人を探し出すことができ、彼の手引きでなんとか日本にたどり着くことができたのだ。
だが、日本では聞いていた通りにキリスト教への弾圧が続いていて、密航してきた司祭は逃げ隠れする日々が続いた。それでも何とか隠れキリシタンの村にたどり着き、そこでかくまってもらいつつ、村人たちのためにミサをあげたりすることができたのだった。

「布教の火は消えていなかった」と喜ぶ司祭たち。だが、そんな喜びもつかの間、彼らは密告によって捕らえられてしまう。そこから彼らの苦悩の日々が始まったのだ。
囚われた若き司祭は、なぜか拷問を受けることもなく、粗末ではあるものの食事もちゃんと出されていた。だが、自らに課せられる拷問よりも辛い仕打ちが待っていた。彼がミサをしたあの村人たちも捕らえられ、“彼の代わりに”拷問を受け始めたのだ。苦しむ彼らの声が聞こえる。司祭にできるのは、彼らのために祈ることだけだった。

だが、そんな日々が続いても、状況は変わらない。祈りを捧げた神は沈黙を保ち、拷問を受ける信徒たちに救いの手をさしのべることはなかったのだ。司祭の心にふと、疑念が湧き始める。こんな状況でも沈黙を続ける神。本当に神は存在するのだろうか。ただ、自分が信じたいだけで、神は実在しないのではないか、と。。。

★基本データ&目次

作者遠藤周作
発行元新潮社
発行年2003

  • まえがき
  • 覚書の訳文
  • 切支丹屋敷役人日記

★ 感想

昨日の握手会で、ほ んっとにたくさん言 われたのは真夏との | 乃木坂46 齋藤飛鳥 公式ブログ」を読んで、こんな若い女の子でも遠藤周作の作品を読むのかと感心。そう言えば、「沈黙」は読んだことがなかったと反省し、今になってやっと読んだのでありました。
非情に分かり易い話になっていて、難しいテーマなのに、それをストレートに考えさせてくれる作品でした。若き司祭の心の動きが分かり易く描かれていて、キリスト教の知識が無くても誰にでも分かるようになっています。遠藤周作の宗教関連の作品は面倒くさそうだなと敬遠していたんだけど、もっと早く読めば良かったと後悔。

私自身は全くの無神論者というか、神も仏も悪魔も信じない・必要ないのですが、最近の世界で起きている事件・事故・災害を見ると色々と考えさせられてしまいます。日本でも地震で多くの方がなくなっているし、洪水や何やらで世界中でも多くの人が死んでいってます。また、スーダンも然りですが、あちこちで戦争・紛争が起き、これまた多くの人びとが死んでいる。さらにはテロ事件は頻発し、“信じているものが違う”というだけで殺し合いをしている。キリストでも、アラーの神でも、仏でも、誰でも良いんだけど、神様たちの中で何とかしようという動きは今も無く、“沈黙”を続けている。そんな状況を信者たちはどう思っているのか不思議になってしまう。なんの罪もない子どもたちも犠牲になり、死んでいっている。そのことにどのような“意味づけ”を彼らはしているのだろうか、と。
この作品のように、そんな“沈黙”に耐えられず(いや、それが理由ではないけれど・・・)、みんなが神の存在に疑問を持ち始めないのだろうか。ふと暗示が解け、世界の真実を知ってしまう時が来るんじゃないかと、そんなことを想像してしまう。

今の時代だからこそ、この一冊を読み、自ら考えてみる必要があるでしょう。おすすめします、この一冊。


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コメント 2

TaekoLovesParis

学生時代に読み、友達とかなり議論しました。キチジロー的な生き方をしたくないけど、なってしまうのだろうかと思ったりしました。映画化もされたけど、本が良かったので、イメージが違うといやだと思って見ませんでした。この本の後に、遠藤習作の出世作「白い人・黄色い人」を読み、日本人であることが軽蔑の対象になると知り、考えさせられました。
by TaekoLovesParis (2016-07-24 19:32) 

ぶんじん

TaekoLovesParisさんへ:
(当時)タブーとされた題材をいくつも扱っている遠藤周作、すごいなと思います。「海と毒薬」では日本人が偏見を持つ側だったし。
普遍的な課題というか、未だに解決されない話というか。考えさせられます。
by ぶんじん (2016-07-25 10:49) 

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