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「ヴァロットン―冷たい炎の画家」展 ブロガー特別内覧会 : 一人の人が描いたと思えないくらい多彩な作品 [美術 : 美術展、写真展紹介]

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★ 三菱一号館美術館

三菱一号館美術館で開催されている「ヴァロットン展 ―冷たい炎の画家」のブロガー特別内覧会に参加してきました。特別に館内での写真撮影もさせていただいています。

さて、三菱一号館美術館は東京駅から歩いて五分、有楽町駅からだと東京国際フォーラムの先。三菱が十九世紀終わりに建てた赤レンガのビルを再現した建物にある美術館です。ユニークな館長さんの方針で、興味深い企画展を開催しています。今回の「ヴァロットン展」も、はっきり言ってあまり知られていない画家ながら、その魅力を伝えていきたいんだという強い意志を感じることができる企画展だと思います。

美術館は三菱地所が再開発したエリアにあり、ビルに囲まれた中庭スペースは池や花壇が設けられ、カフェ・レストランのテラス席なんぞもあって、とってもお洒落。美術展を見たあとに余韻に浸りながら食事するのもいいですね。
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三菱一号館自体は取り壊され、今の美術館の建物は新たに建てられた訳ですが、一部の部材は昔のものを再利用しているとのこと。この階段の手すりもそうなのかな。さすがは三菱財閥の建物、豪華です。
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★ ヴァロットンさんて、誰?

さて、肝心のヴァロットンさんって、どんな画家でしょう?実は私もほとんど知りませんでした。初めてその名前を覚えたのは、まさにこの三菱一号館美術館で昨年行われた「三菱一号館美術館名品選2013 -近代への眼差し 印象派と世紀末美術」展での展示。館長の高橋さんが、「三菱一号館美術館の収蔵品にはヴァロットンの作品がある。この人だけの美術展を開催するので期待していて欲しい」旨、話があったのでした。作品を観るのもこの時が初めてだったので、その人だけの美術展ってどんな感じになるのかなぁと思っていたのでありました。

ヴァロットンさんはスイス・ローザンヌの生まれ。画家としてはパリでもボナールやドニなどとともに活動し、ポスト印象派のゴーギャン、ゴッホ、セザンヌなどとも交流した人。ナビ派(Wikipedia)と呼ばれる前衛芸術集団に属しつつも、独自の道を進んだ人で、今回の展示でも「これ、同じ人が描いたの?!」と思うくらい、印象の違う・描き方の異なる作品を観ることができます。

でも、描き方や対象は異なる者の、人間の持つ性(さが)や、根源的な欲望のようなものを、ちょっと皮肉っぽく描くという感じは生涯、共通しているように思えました。その鋭さは怖いくらい。そして、神話のパロディとなっている作品などもあり、その意味を理解するには見る側にもそれなりの教養がないといけないようです。なかなか手強い相手ですよ、ヴァロットンさん。

とはいえ、男女の機微を描いた作品や、政治的な話題を扱った木版画は、週刊誌のゴシップ的な雰囲気もあり、意外と親しみやすいところもあります。色んな顔を持っているヴァロットンさん、やりますねぇ。
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蔵書票もありました。いいなぁ。こんなの作って欲しいなぁ。まあ、最近は電子書籍でばかり読んでいるから、Kindleに貼るくらいしかないですが。
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本の挿絵も描いています。
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★ 多彩なる作品群

写真撮影は許可されていますが、作品を単体で大写しするのはNG。なので、ちょっと見にくいですがご容赦を。そんな感じですが、気になった作品をいくつかご紹介。

空のグラデーションがとても美しかった。風景もこんな風に魅力的に描いているんです、ヴァロットンさん。
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と思いきや、これですよ。自分と、自分の家族を描いた作品だそうです。貧乏だったヴァロットンさん。でも、結婚した相手は裕福な画商の娘。いわゆる格差婚ってやつなのでしょうか。さらには年上の奥さんには連れ子がいて、子ども嫌いのヴァロットンさんは家庭の中で浮いてしまっていたようです。食卓を囲む家族。灯りが当たっているのは奥さんと子ども。でもヴァロットンさん自身は後ろ姿で、しかもシルエット。うーむ。。。
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裸婦を描いた作品も多数。ちょっと分かりにくいですが、右側の作品にはなぜかオウムが描かれています。図像学的に何かを象徴したものなのか解釈が聞きたいです。東洋の、特にインドを象徴する鳥として思われていたこともあるオウム。なにか、そんなオリエンタルな意味合いがあるのでしょうか。
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ルーマニアの女性を描いたというこの作品。リアルです。実際に作品を観ていただきたいのですが、とても印象的な表情をしています。ちょっと怖いくらい。あと、写真は撮っていないのですが、女性のお尻だけをリアルに描いた作品などもあり、質感に拘った描き方をこの頃はしていたようです。静物画のパプリカ(?)を描いた作品も赤や黄色がやたらと強調されています。
自分の家庭を描いた絵や残照を描いたものなど、どちらかというと平坦なイメージがあります。が、この時期のものは立体的というかリアル。うむ、ずいぶんと筆のタッチが変わってきていますが、なにがあったのでしょうか。
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アダムとイブを描いた作品。他にも神話をモチーフにした作品がこのコーナーでは何作も展示されていましたが、全部こんな感じ。そこら辺にいるおじさん・おばさんが人類共通の祖先(のモデル)として選ばれたようです。。。神話世界を実際の人間たちに近づけた、とも言えるし、かなりの皮肉をこめているようにも解釈できるし、うむ、これは何が言いたいのでしょう。
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館長さんと学芸員さんのトークコーナー。館長さんがいかにヴァロットンに傾注しているかが分かりました。でも、今回の展示を見て、その気持ちも理解できましたよ。いやぁ、不思議な魅力を持った画家ですね、ヴァロットンさん。
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ということで、とてもとても面白かった美術展でした。観たらハマりますよ、きっと。おすすめです。

● 美術展概要


音声ガイドの声の出演はなんと館長さんご本人。渋い声で聞かせてくれますよ。

● 関連図書

図録は美術館のショップでも、下記通販でも買えます。
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楽天ブックスで購入する


前回の美術展の図録はこちら
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AmazonのKindleで読めるヴァロットンさんの解説本です。見つけて、私も思わず買っちゃいました。今回展示された作品とはまた違った作品も一杯収録されていて、見応えありそう。






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コメント 2

TaekoLovesParis

今、一番行きたい展覧会です。チケットも買ってあるので、展示のようすが見れてうれしかったです。
by TaekoLovesParis (2014-07-01 22:59) 

ぶんじん

TaekoLovesParisさんへ:
おお!この美術展に注目していらっしゃるとはさすが!
私はほぼ初めて観る作品ばかりでしたが、館長さんが惚れ込むのも分かる気がしました。
by ぶんじん (2014-07-01 23:32) 

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